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恋の行方を探してください【完結】
第12章 【十二話】詩的な依頼
「…………由臣さん」
「なんだ」
「これを読んで、最初、どう思いましたか」
「たぶん美哉が思っていることと一緒だ」
美哉が資料から顔を上げると、由臣と視線が合った。
とどちらからともなく、口を開いた。
「どうして高木さんから依頼が来たのでしょうか」
「文面を読む限りでは無関係と思われる高木小夜からの依頼が不可解だ」
言葉は違っていたが、二人とも、同じところに疑問を抱いた。
また同じ感想だったことに美哉はがっくりしたが、由臣の視線が資料に向かったのを見て、手元に視線を落とした。
「メールフォームの後ろに小早川食品とジュエリー・コバヤカワの簡単な会社概要を付けているから見てくれ」
「はい」
メールフォームをめくると、まず始めに、小早川食品の会社概要があった。設立年や沿革といったよくある概要。こちらはホームページを印刷したもののようだった。
同じく、ジュエリー・コバヤカワもホームページから会社概要を印刷したもの。
そこを見て、美哉はさらに首を傾げた。
「あのー」
「なんだ」
「小早川食品とジュエリー・コバヤカワって小早川グループという以外、接点はないですよね」
「ないな」
「それなのにどうして、ジュエリー・コバヤカワが本来は依頼してきそうな案件を、高木さんが?」
「その疑問は、伊吹が調査した報告書を見れば分かる」
会社概要をめくると、『高木小夜と槇英太郞の調査報告書』と書かれたレポートが二枚ほどあった。
美哉はそれを読んだ。
調査報告書によると、二人の出会いはグループで行った新入社員歓迎会でとのこと。それならば、接点があっても不思議はない。だけど、読めば読むほど謎が深まる。
高木小夜には槇とは別の恋人がいると書かれているし、一方の槇はというと、特定の彼女はおらず、不特定多数の女性と関係を持っていたとある。
「え……と、要するにこの二人、付き合っていたということですか?」
「それをどう読んだらそう取れるんだ。報告書の二枚目の真ん中あたりに書かれていたと思うが、槇の素行が悪いというのは、社内外で有名だというし、高木小夜には恋人がいるのだろう? ということは、二人は付き合っていた訳ではないだろう」
「それなのにどうして高木さんが?」
「それは今から来る本人に直接聞けばいいだろう」
「え……と、はい」
「なんだ」
「これを読んで、最初、どう思いましたか」
「たぶん美哉が思っていることと一緒だ」
美哉が資料から顔を上げると、由臣と視線が合った。
とどちらからともなく、口を開いた。
「どうして高木さんから依頼が来たのでしょうか」
「文面を読む限りでは無関係と思われる高木小夜からの依頼が不可解だ」
言葉は違っていたが、二人とも、同じところに疑問を抱いた。
また同じ感想だったことに美哉はがっくりしたが、由臣の視線が資料に向かったのを見て、手元に視線を落とした。
「メールフォームの後ろに小早川食品とジュエリー・コバヤカワの簡単な会社概要を付けているから見てくれ」
「はい」
メールフォームをめくると、まず始めに、小早川食品の会社概要があった。設立年や沿革といったよくある概要。こちらはホームページを印刷したもののようだった。
同じく、ジュエリー・コバヤカワもホームページから会社概要を印刷したもの。
そこを見て、美哉はさらに首を傾げた。
「あのー」
「なんだ」
「小早川食品とジュエリー・コバヤカワって小早川グループという以外、接点はないですよね」
「ないな」
「それなのにどうして、ジュエリー・コバヤカワが本来は依頼してきそうな案件を、高木さんが?」
「その疑問は、伊吹が調査した報告書を見れば分かる」
会社概要をめくると、『高木小夜と槇英太郞の調査報告書』と書かれたレポートが二枚ほどあった。
美哉はそれを読んだ。
調査報告書によると、二人の出会いはグループで行った新入社員歓迎会でとのこと。それならば、接点があっても不思議はない。だけど、読めば読むほど謎が深まる。
高木小夜には槇とは別の恋人がいると書かれているし、一方の槇はというと、特定の彼女はおらず、不特定多数の女性と関係を持っていたとある。
「え……と、要するにこの二人、付き合っていたということですか?」
「それをどう読んだらそう取れるんだ。報告書の二枚目の真ん中あたりに書かれていたと思うが、槇の素行が悪いというのは、社内外で有名だというし、高木小夜には恋人がいるのだろう? ということは、二人は付き合っていた訳ではないだろう」
「それなのにどうして高木さんが?」
「それは今から来る本人に直接聞けばいいだろう」
「え……と、はい」