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恋の行方を探してください【完結】
第12章 【十二話】詩的な依頼
 すでに報告書の時点で美哉はお腹いっぱいな気分だったが、これも仕事だと心を無にすることにした。
 そうでもしないと、不特定多数の女性と付き合っている槇なんて、正直なところ、探したくなかった。

「美哉からすれば、不潔、最低と言いたいような男だろうな」
「……なんで分かったんですか」
「それは俺も同じことを思ったからだ」
「…………」
「美哉、勘違いするなよ」
「なにをですか」
「俺は美哉一筋だからな!」
「お断りします」
「……つれない。つれなさすぎる。だけどそれが燃える……!」
「燃えられても困ります」

 美哉としては、自分の両親のこともあり、一途なことはいいのだけれど、いかんせん、少し顔は濃いけれど、イケメンの部類に入るし、さらに御曹司という由臣は、はっきりいって、好みではない。
 別にイケメンじゃなくていい、金持ちでなくてもいい、普通に暮らせるレベルで、美哉のことを大切にしてくれて、しかも鳥肌が立たない男性だったら、だれでもいい。

 ただし、由臣以外で。

「私」
「なんだ」
「由臣さんの相棒ってのは、仕事ですから譲歩します」
「おう。ずいぶんな進歩だな」
「でも、絶対に由臣さんとは結婚しませんからね!」
「ほぉ?」
「与頭(くみがしら)も、早く次の人を見つけてください」
「いや、それは無理だな」
「どうしてですか」
「言っただろう。与頭は小早川のナンバーツーだと」
「それは聞きました」
「親父には今、伴侶がいない」
「……え」

 そもそもが由臣が与頭の代理をしている時点で薄々と感じてはいたけれど、まさかの言葉に美哉は絶句した。

「上の兄二人と俺は、母が違う」
「…………」
「上の兄二人の母も、俺の母も、すでに他界している」
「そ……そう、だったん、ですか」
「次期当主となる長兄の伴侶も亡くなっている」
「…………」
「長兄の子どもは娘なんだが……」
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