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恋の行方を探してください【完結】
第15章 【十五話】不自然さがいっぱい
店名を聞いた美哉は、そこが最近できたばかりだけどとても人気があり、なかなかお店に入れないのを知っていたので、うらやましかった。
「ここのお店、なかなか予約が取れなくて、でも、たまたま取ることができたんです。英太郎さん、新ブランドの立ち上げで忙しいのを知っていたのですが、だからこそ、少しでも楽しんでもらおうと思って、無理を言って出てきてもらったんです」
「出てきてもらった?」
「あー、うさ耳は知らないかもしれないが、ジュエリー・コバヤカワのセキュリティはとても厳重で、出るのは簡単だけど、入るのはなかなか厳しいんだ」
「それは社内にってことですよね?」
「そうだ。でも、あそこは基本、外出禁止のはずだったが」
「そうなんですか」
「高木小夜さん、あなたはそのことを知っていましたか」
「はい。英太郎さん、よくそのことで文句を言っていましたので、知っていました」
ふむ、と由臣はうなずいた後、美哉の手をつかんでない左手で顎を撫でた後、口を開いた。
「食事をした後、槇英太郎さんは、社内に戻ったのか?」
「それが……戻ると言っていたのですが、どうやら戻ってないみたいなんです」
「ということは、戻ると言いながら、どこかに消えてしまったと?」
「はい。それに、英太郎さんの机の上が、不可解なことになっていたと」
「というと?」
「すっかり片づいていて、まるで仕事を辞めるかのような状態になっていたと、ジュエリー・コバヤカワの部長から聞きました」
その情報だけではなんとも言えないが、そういえば、と美哉は思い出した。
「恋の行方」
「はい、英太郎さんがリーダーになって、新ブランド『恋の行方』の立ち上げをしてました」
「そんな状況で仕事を辞めるなんて、ありえないですね」
「はい。でも、あそこに部外者は入れませんから、本人がやったとしか思えません」
「それも奇妙だが、デザイン画がまったくなくなっていたというのは?」
「ここのお店、なかなか予約が取れなくて、でも、たまたま取ることができたんです。英太郎さん、新ブランドの立ち上げで忙しいのを知っていたのですが、だからこそ、少しでも楽しんでもらおうと思って、無理を言って出てきてもらったんです」
「出てきてもらった?」
「あー、うさ耳は知らないかもしれないが、ジュエリー・コバヤカワのセキュリティはとても厳重で、出るのは簡単だけど、入るのはなかなか厳しいんだ」
「それは社内にってことですよね?」
「そうだ。でも、あそこは基本、外出禁止のはずだったが」
「そうなんですか」
「高木小夜さん、あなたはそのことを知っていましたか」
「はい。英太郎さん、よくそのことで文句を言っていましたので、知っていました」
ふむ、と由臣はうなずいた後、美哉の手をつかんでない左手で顎を撫でた後、口を開いた。
「食事をした後、槇英太郎さんは、社内に戻ったのか?」
「それが……戻ると言っていたのですが、どうやら戻ってないみたいなんです」
「ということは、戻ると言いながら、どこかに消えてしまったと?」
「はい。それに、英太郎さんの机の上が、不可解なことになっていたと」
「というと?」
「すっかり片づいていて、まるで仕事を辞めるかのような状態になっていたと、ジュエリー・コバヤカワの部長から聞きました」
その情報だけではなんとも言えないが、そういえば、と美哉は思い出した。
「恋の行方」
「はい、英太郎さんがリーダーになって、新ブランド『恋の行方』の立ち上げをしてました」
「そんな状況で仕事を辞めるなんて、ありえないですね」
「はい。でも、あそこに部外者は入れませんから、本人がやったとしか思えません」
「それも奇妙だが、デザイン画がまったくなくなっていたというのは?」