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恋の行方を探してください【完結】
第2章 【二話】交際ゼロ日、一目惚れ
 由臣に名前を呼ばれて、どくんとまた、鼓動が大きく鳴った。これはなんだというのだろうか。

「美哉と結婚したい」
「え……」
「なるほど、そうか」

 由臣は大きくうなずくと、口を開いた。

「……──一目惚れした、俺と結婚しろ!」
「は?」

 美哉は由臣に両手首を掴まれて、ベッドに縫い付けられている状態にいつの間にかなっていた。黒に近い焦げ茶色の真剣な瞳が、美哉の瞳をのぞき込んでいた。

「交際ゼロ日、拾った瞬間に恋に落ち、結婚。うん、俺らしくていいな、それ」

 俺らしくていいと言われても、美哉は由臣のことを知らないし、それよりも覚悟もない。

「困った表情をしながらも、俺から視線を逸らさないその強いまなざしといい、意思といい、本気で惚れた」
「はぁ……」
「いやぁ、いい拾いものをした」
「わたっ!」

 私は物じゃない! と反論する間もなく、美哉はまた、由臣に唇をふさがれた。そればかりか、唇を舌で強く舐められた上、美哉の口内に由臣の舌がねじ込むように差し込まれた。

「んんっ!」

 驚いて思わず声を上げようとしたが、口がふさがれているため、鼻から抜けた息が妙に色を含んでいて、カーッと一気に体温が上がったのが分かった。
 まるでこれでは、美哉が由臣を誘っているようではないか。
 違うと首を振ろうとしたけれど、いつの間にかがっつりと顎をつかまれていて、動かせなかった。
 ぴちゃぴちゃと濡れた音と、由臣の荒い息が美哉の耳に届いた。それを聞いていると、美哉も息苦しくなってきて、息をしようとすると、また鼻から色っぽい吐息が洩れた。
 由臣に口をふさがれているばかりか、口内を舌が暴れているし、美哉はどうすればいいのか分からなくて、されるがままになっていたが、さすがに息が苦しくなってきた。自由になった手で由臣の肩を叩いたら、少しだけ口を離してくれた。とはいえ、唇と唇はひっついたままだ。
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