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恋の行方を探してください【完結】
第17章 【十七話】御庭番の十八番は脅し?
そうして、ようやく乗り込んだのだけど、美哉の後から由臣も当たり前のように後部座席に乗ってきた。
「あの、由臣さん」
「なんだ」
「助手席ではないんですか」
「ない」
「それと」
「なんだ」
「せっかく広いのに、そんなにひっつかないでください。狭いです」
「俺は狭くない。というか、むしろ、美哉を感じられなかったら車に酔う!」
「…………」
といって、ひっついてこられてしまった。
「それでは、出発いたします」
「はい、お願いします」
由臣がひっついてくるのをはねのけたけれど、それでも懲りずにひっついてくるので、二・三度やって、諦めた。
「ところで美哉」
「はい、なんでしょうか」
「緑と紫、どっちがいい?」
「え、いきなりなんの話ですか」
「これから統括事務局に行って、カードを作るんだが」
「カード、ですか」
「そうだ。公的なものではないが、小早川グループ内では身分証明証にもなる」
その一言に、美哉は自分に荷物が一つもなかったことを思い出した。
「そういえば」
「どうした」
「寮に私の荷物がたくさんあるのです。でも、いきなり部屋を追い出されてしまったので、カバンしか持ち出せなくて、そのカバンさえ、盗られてしまいました」
「あぁ、そうだったな。カバンは勝千代に任せておけ。寮の荷物は……そうだな、吟太に運び出させるか」
「え、荷物、出せるんですか」
「だから言っただろう。いくらなんでも、いきなり追い出すのはおかしいと」
「そうですけど……。黒服を着た人たちがたくさん来て、怖かったんです」
「黒服……?」
「はい。黒服にサングラスを掛けた人たちが数人いきなり来まして、部屋から出ろと言われて、仕方なく」
「なにもされなかったか?」
「はい、されませんでした。ついてくるように言われたのですが、怖かったので隙を見て逃げました」
「あの、由臣さん」
「なんだ」
「助手席ではないんですか」
「ない」
「それと」
「なんだ」
「せっかく広いのに、そんなにひっつかないでください。狭いです」
「俺は狭くない。というか、むしろ、美哉を感じられなかったら車に酔う!」
「…………」
といって、ひっついてこられてしまった。
「それでは、出発いたします」
「はい、お願いします」
由臣がひっついてくるのをはねのけたけれど、それでも懲りずにひっついてくるので、二・三度やって、諦めた。
「ところで美哉」
「はい、なんでしょうか」
「緑と紫、どっちがいい?」
「え、いきなりなんの話ですか」
「これから統括事務局に行って、カードを作るんだが」
「カード、ですか」
「そうだ。公的なものではないが、小早川グループ内では身分証明証にもなる」
その一言に、美哉は自分に荷物が一つもなかったことを思い出した。
「そういえば」
「どうした」
「寮に私の荷物がたくさんあるのです。でも、いきなり部屋を追い出されてしまったので、カバンしか持ち出せなくて、そのカバンさえ、盗られてしまいました」
「あぁ、そうだったな。カバンは勝千代に任せておけ。寮の荷物は……そうだな、吟太に運び出させるか」
「え、荷物、出せるんですか」
「だから言っただろう。いくらなんでも、いきなり追い出すのはおかしいと」
「そうですけど……。黒服を着た人たちがたくさん来て、怖かったんです」
「黒服……?」
「はい。黒服にサングラスを掛けた人たちが数人いきなり来まして、部屋から出ろと言われて、仕方なく」
「なにもされなかったか?」
「はい、されませんでした。ついてくるように言われたのですが、怖かったので隙を見て逃げました」