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恋の行方を探してください【完結】
第18章 【十八話】由臣の壊滅的なあだ名センス
ゲートを抜けた先はロビーになっていて、ソファがちらほら置かれていた。その先に扉があり、そこが統括事務局なのだろう。
「とりあえず、そこに座って待とう」
「はい」
と促されて、美哉と由臣はソファに並んで座った。
「美哉の専属になってもらうのは、俺の大学のときの先輩だ」
「え……由臣さん、きちんと学生生活を送れていたのですか?」
「……おまえな。俺にだって小さい頃もあったし、学生時代もあった」
「…………」
協調性に欠けていそうな由臣が、まっとうなキャンパスライフを送っていたとは到底思えない。それにくわえて、ひとつ、気がついたことがあった。
「あれ」
「なんだ」
「私の担当、女性なんですよね」
「そうだが」
「由臣さんって女性、嫌いなんじゃなかったですか」
「一部の女性を除いて、苦手というだけだ」
「……ふぅん?」
嫌いと苦手の差は大きいが、それでは、苦手でなければどうだったのだろう。
そんなことを美哉が考えた瞬間、どうしてだろう、胸がずきんと痛んだ。その痛みに驚いて、胸に手を当ててみたけれど、もう痛みは治まったようだった。
それにしても、先ほどの痛みはなんだったのだろうか。
美哉は眉間にしわを寄せながら首を傾げていると、扉が開いて、二人の人物が現れた。
一人は白髪交じりのスーツを着た男性で、その後ろから肩の上でぱっつりと艶やかな髪が切りそろえられた女性だった。こちらは男性と違って、ロングTシャツにカーディガン、チノパンといったかなりラフな格好をしていた。
「おー、久しぶりだな、きのこちゃん!」
「きのこちゃん……?」
「髪型がきのこみたいじゃないか、だからきのこちゃん」
それはいくらなんでもひどすぎなんじゃなかろうか、と美哉は思ったが、美哉が口を開く前にスーツ姿の男性の後ろにいた女性は、肩をいからせて、早歩きでこちらにやってきた。
「相変わらずね、小早川三男!」
「おう、久しぶりだな。相変わらずはそっちも一緒だろう、きのこちゃん」
「あんた、このボブカットをきのこ頭って、ほんっとセンスなさすぎでしょう!」
「とりあえず、そこに座って待とう」
「はい」
と促されて、美哉と由臣はソファに並んで座った。
「美哉の専属になってもらうのは、俺の大学のときの先輩だ」
「え……由臣さん、きちんと学生生活を送れていたのですか?」
「……おまえな。俺にだって小さい頃もあったし、学生時代もあった」
「…………」
協調性に欠けていそうな由臣が、まっとうなキャンパスライフを送っていたとは到底思えない。それにくわえて、ひとつ、気がついたことがあった。
「あれ」
「なんだ」
「私の担当、女性なんですよね」
「そうだが」
「由臣さんって女性、嫌いなんじゃなかったですか」
「一部の女性を除いて、苦手というだけだ」
「……ふぅん?」
嫌いと苦手の差は大きいが、それでは、苦手でなければどうだったのだろう。
そんなことを美哉が考えた瞬間、どうしてだろう、胸がずきんと痛んだ。その痛みに驚いて、胸に手を当ててみたけれど、もう痛みは治まったようだった。
それにしても、先ほどの痛みはなんだったのだろうか。
美哉は眉間にしわを寄せながら首を傾げていると、扉が開いて、二人の人物が現れた。
一人は白髪交じりのスーツを着た男性で、その後ろから肩の上でぱっつりと艶やかな髪が切りそろえられた女性だった。こちらは男性と違って、ロングTシャツにカーディガン、チノパンといったかなりラフな格好をしていた。
「おー、久しぶりだな、きのこちゃん!」
「きのこちゃん……?」
「髪型がきのこみたいじゃないか、だからきのこちゃん」
それはいくらなんでもひどすぎなんじゃなかろうか、と美哉は思ったが、美哉が口を開く前にスーツ姿の男性の後ろにいた女性は、肩をいからせて、早歩きでこちらにやってきた。
「相変わらずね、小早川三男!」
「おう、久しぶりだな。相変わらずはそっちも一緒だろう、きのこちゃん」
「あんた、このボブカットをきのこ頭って、ほんっとセンスなさすぎでしょう!」