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古傷
第1章 ・・・1
くるくると回る赤い傘に黄色いスカート

彼女が現れたのかと思った

自分が許してくれと願ったばかりに、亡霊となったのかと

気づけば体が動いていた 夢だ きっと朝から全て夢

無我夢中で逃げた、後ろで何か聞こえた、雨で掻き消される

雨で顔にへばりつく髪の間から前だけを見て

走っていた筈が、いつの間にか目の前には電車が走っていて、遮断機に体が触れている。

ゴーと体を覆いつくすような激しい音と風が目の前を駆け抜けたあと、漸く今の状況を整理した

反射的に止まったらしい、らしいという程には無意識的だった。

そして思い出したように、深く深呼吸する
体は雨と汗でびっしょりだった

「もう、許してくれ...なぁ」
頭を抱えたくなる、喉の奥が渇いて痛い

涙は出ない 後ろを見るのが怖い

「ねぇってば!」
肩に衝撃が走り、反射で振り向いてしまった

「・・・有理じゃない」
そこには有理とそっくりな格好の別人がいた

その人は当然怪訝な顔をした

とんだ勘違いで命を落とすところだったのか、と改めて冷や汗がでた

「すまない、人を間違えた。」

全てを彼女のせいにしてしまう、そんな自分が嫌いだ
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