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古傷
第1章 ・・・1
ビューーーー ガタンガタン ガタンガタン

電車が前を通りすぎていきやがて小さくなっていく間二人は立ち尽くしていた

その沈黙をやぶる
「はぁ...朝から気分の悪いもん見たくないっての
というかあなた、どこかで会いました?」
身に覚えはないけど、危ない目に合わせかける?程のことをしてしまったのだろうか

だが、男は何も答えないどころか
「や...も....ぁ」
と、まだ何かに怯えているようだ
「ねぇってば!」
心配にというか不気味さも感じるなか、肩に手を置くと、男はびくっと肩を震わせ、こちらを見た目は小刻みに震えていた

「・・・ユリじゃない?」
身に覚えのない名前、まさかその人と私を間違えた?

「・・・・はい、ユリじゃないですけど」
彼はまた二度瞬きをして、やっと頭を深々と下げた

ごめんなさいと謝る姿が、やっぱり弱々しく雨で囲まれた世界に連れていかれそうだと思った


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