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恋は盲目
第2章 特別な夏休み
本番前、私たちは舞台の袖口にいる。
もう出番は次だ。
中学の頃から何度も経験しているから、この本番前の匂いと空気でそれぞれの記憶が蘇る。
もう前のコンクールから1年経ったんだな。
私は辺りを見渡して、全員に声をかけていく。
「さえなら絶対大丈夫!楽しも!」
「桃、しっかり先生の指揮見るんだよ。Dの出だしだけ気をつけたら後は完璧!」
全員を励まし終えたところで出番が来た。
私は目をつむり、総司君を思い浮かべた。
観客席にはいないけど、総司君に届くように演奏するから聴いていてね。
私は颯爽と舞台へ向かった。