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恋は盲目
第2章 特別な夏休み

ホールの外は出演する学生で混雑していて、なかなか前に進めない。

皆楽器を手に持っているので横を駆けていくにもいかず、私は歯がゆい気持ちで流れの中を進んでいった。

携帯で総司君に

「今向かってます」

とだけ送っておく。

するとすぐに

「了解」

と返ってきた。

早く、早く!



やっと人混みを脱し、総司君が待つ場所へ走っていける!

と、駆け出そうとした時、私の腕を誰かが掴んだ。

驚いて掴まれた先を見ると、

「け、慶太!?」

「よ!」

よ!じゃないよ!
心の中で激しく突っ込む。

「な、何してんの!?」

「ひで〜!あんりの演奏聴きにきたんじゃん。毎年来てんのにその反応はないわ。」

慶太が少し拗ねた様子を見せる。

「あ、そっか。ごめん・・・。ありがとう。でも、えっと、今ちょっと人を待たせてて、急いでるんだ。」

「何だよ〜今日くらいかまってくれても良いじゃん。」

「いや、本当に待たせてるの。本当にごめん!」

私は土下座する勢いで頭を下げた。

「わ!い、いいよ!わかったから。頭あげろって。」

慶太が驚いて私の肩を掴んで頭を上げさせる。

「本当に来てくれてありがとう!本当にごめんね!」

「礼を言うか謝るかどっちかにしろよ。いいから行って来いって。」

「ありがと!じゃ!」

手をあげて駆け出す。

私の頭の中は総司君でいっぱいだった。

総司君のもとへ駆けていく私は空でも飛んでいるかのような気分だった。
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