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天使さまっ!
第14章 続編 天国へと続く恋
一番最初に口火を切ったのは、やっぱりエリン先生だった。
「華也ちゃん。今日は予約入ってなかったよね。来るときはちゃんと先に予約だよ、って約束したのに――」
内心の焦りからか、まさかエリン先生が咄嗟に患者さんを責めてしまったのかと思い、私は唖然としてしまう。精神科の患者さんを責めてしまうことは安易にしてはならないことで、私だって知ってることを、エリン先生が間違うわけはない。
「何かあったのかい?」
エリン先生との約束は守れるくらいに、精神状態は安定してきていたから余計に。何があったのか、その変化を心配する。私はホッと胸を撫で下ろす。自分たちが恥ずかしいとか、どうしようとか、そんなのは関係ない。いつだって優先すべきは患者さんなんだ。
驚いていた彼女も、漸く自分の事情を思い出したのか、みるみるうちにその表情は曇っていく。私は何も言わずに彼女の荷物を何事もなかったかのように拾い集めた。私が何かを下手に言うより、すべてエリン先生に任せたほうがいいのだから。