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天使さまっ!
第18章 余談:恋の病と白衣の天使


前触れなく背筋にキスをされて私は思わず悲鳴が出ました。そんなとこも感じてしまうものなのですか、びっくりしすぎました。


「すごいきれい」


エリン先生は後ろからぎゅっと抱き付いてきました。温かい先生の体温が伝わってきます。


「恥ずかしいです」

「うん。しかこさんの恥ずかしがってる顔すき」


私の頬にキスをしながら、恥ずかしさを煽るんだから。いぢわるです。


「僕もともとは、あんまり感情ってなかったんだけど」

「え?」

「あんまり小さいうちから色々なものを見てきたから、今さら誰がどんな恰好しようと、裸でも体の内側でも。若かろうが年老いてようが男も女も関係なくて、ただ『人体』っていうだけの認識でしかなくて」


淡々と語るそれは私の知らないエリン先生の過去を感じさせるものでした。


「目の前に死体が転がっていても、新しい命が産まれても。およそ感情の動かない、それが僕だと思ってました」


私は私を抱き締めているエリン先生の腕をそっと抱えました。

背中にはエリン先生の鼓動が伝わって、トクトクとした音が聴こえるかのようです。


「しかこさんだけには、僕は嬉しくなったり悲しくなったり、心が揺さぶられるんです」

「エリン先生……」

「色んなしかこさんを見て、色んな自分を知りたいんだ。ごめんね、恥ずかしい想いさせて。でもすごく可愛い」


キュンマックス。もう先生のためなら私どんな恰好でもします。……って言ったら本気にして何着せられるかわからないから言わないけどっ。


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