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天使さまっ!
第19章 センチメンタルジャーニー
「ありがとう、ございます」
私を勇気づけてくれる。折れそうな心を、支えてくれる。
私は一人だと弱い。エリン先生という宿り木がないとすぐに弱ってしまう。そんな弱った心の隙につけこむ、コウヤみたいな人を呼び寄せてしまう。思えばずっとそうだった。
私は守られていたんだ。エリン先生に。
「キョウコからデンワきたトキ、ボクにはエリン、スくえないよっていったんだ。そしたらカノジョ、エリンじゃなくてキミを、エリンのかわりにボクが。タスけてっていってたよ」
私はびっくりして何も言えなくなった。
「エリンがいないの、キミがイチバンツラいね。でもキョウコ、ヒトのココロ、ゲンキできないからさ」
「……? それってどういう――」
話をしていた私たちの間で、微かにエリン先生が呻いて何か呟いた。私はハッとしてエリン先生に視線を落とした。
目を開けた。力ないまぶたが瞬きして、エリン先生は目覚めた。
信じられない想いで、嬉しくて嬉しくて涙が溢れて、ゆっくりと手をあげたエリン先生をただ見ていると、先生は突然に点滴の針を無理矢理引き抜いて投げ捨ててしまう。
何か、何語かわからない言葉で口早に話す抑揚のない声。困惑したお父様が曖昧に言葉を返す間も先生は次々に何かを言い続けていた。
「せ、先生……?」
点滴を引き抜いた腕から血が流れて、私は慌てて圧迫止血をする。エリン先生は私に見向きもしないでお父様と話していた。
ドキドキする。やっと先生が目覚めたけれど、一体どうしたのかわからない。