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天使さまっ!
第19章 センチメンタルジャーニー


「エリン、ニホンにクるマエほとんどワラわなかったけど、エイギョウスマイル?ミにつけたよね」

「営業スマイル……」


多分、患者さんたちを受け持つ中で笑顔を向ける必要性が芽生えたから。だからいつもニコニコしてるんだろう。


「昔のエリン先生ってどんなふうだったんですか」

「ヘンなコだったさ。アサおきると『ただいま』っていうことがたまにあった。おはようだよ、ってなおすとクビを振るんだ」

「……頑固?」

「ボクはずっとカレをゴカイしてたよね。でもサイキンわかったよ。きっとナンドもカレだけタイムトラベルしてコドクなタビをくりかえしてたんだ」


私は言葉をなくしてお父様の綺麗な目の色を見ていた。


「イッタイどれだけのジカンをどこですごし、どんなケイケンをしてきただろ。ボクはそのヒトツしかしらない。もしかしたらカレのセイシンはボクなんかがオモウよりずっとナガイジカンをいきてきたかも。どんなにかソウゼツなオモイをしてきたか、ソウゾウをゼッするんだ」


私は背筋がゾクゾクとした。コドモらしくないのではない、とうにコドモではないのだ、と。言われてみればそれが正しい気がした。だからあんなにも異質であり、神様のように見えるのかもしれない。

知らない時代の知らない場所に、ただ一人迷い込む恐怖なんて私にはわからない。そこで自分のなすべきことを果たすなんてどれほど精神力がいるだろう。

私はエリン先生一人いないだけでこんなにも弱ってしまうのに。


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