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天使さまっ!
第19章 センチメンタルジャーニー


エリン先生の包帯を新しくして服を着せ終わると、私は後片付けもそこそこに隣のベッドに行きカーテンをしっかり閉めました。エリン先生の病室は二人部屋を個室として使用中なのでこちらのベッドは私の私物化が暗黙の了解でなされてます。婦長のさりげない優しさに感謝しつつ、さて。

私は自分の荷物に入っているものを取り出しました。いつかエリン先生にさせられたコスプレのナース服です。さすがにこれを見ればエリン先生だって自分の思い出したものを否定しないはず。あわよくば全部思い出せ、という私の企みです。

今日の回診の時間は終わってるので、あとは食事の時間まで誰も来ないと思いたいのです。

着替えをしている私をカーテンの向こうでエリン先生が不思議に思っているでしょう。普通看護婦は作業が終われば病室を出ていくのですから。

好奇心の強いエリン先生が限界に達したのかついに声をかけてきました。


「しかこちゃん?なにしてるの」


私はエリン先生のベッドと私のベッドを仕切るカーテンの端からちょっとだけ顔を出し、言いにくそうにお願いをしました。ていうかこれめちゃめちゃ勇気いる。


「あの、エリン先生。ちょっと手伝っていただけます……?」

「なぁに?」

「後ろのリボン、自分じゃ結べないんです」


カーテンに隠れたまま言うと、エリン先生はニッコリ笑いました。


「いいよ、やってあげる」


先生、片手なのにどうやるつもりですか。気安く返事した先生に心の中でツッコミました。ああでもやっぱりこの姿をさらすのは恥ずかしいな。


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