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天使さまっ!
第3章 天使さまの実情
「僕は人の目を見ると、その人の健康状態がわかります。西洋医学とも東洋医学とも違う独学とも違うただの本能で患者さんと向き合います」
真剣な顔でポソポソと語り出したエリン先生の話を、嘘とも本当ともわからないまま、私はポカンと立ち尽くす。
「ここに来てすぐの頃、誤って転落した乳児の急患が運ばれてきましたが、すでに呼吸も心拍もなくて死亡していました」
ただ、話をきいていると背筋がゾクゾクとして、どうしていいのかわからないの。
「若い母親の泣き叫ぶ声に、通りかかった僕が病室を覗くとまだ温かい遺体がベッドの上で顔に白布をかけられてました。頭から転落したと聞き、僕はその子の頭をしばらく撫でていたんです」