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天使さまっ!
第5章 天使さまが神さまに見えた日
最初は見学をしていろと言われたから、私は分娩室の脇に待機してそれを見ていたの。
青いキャップにマスク、手袋をはめたエリン先生はすぐに分娩台で苦しんでいる患者さんに近付いて、手を握った。
「僕の声が聞こえますか。大きく息を吸ってください」
患者さんは呻いてばかりであまり呼吸をしていない。
「大丈夫、息を吸って。たくさんたくさん赤ちゃんに、酸素を届けてあげてください」
耳元で静かに優しくエリン先生が言うと、泣きながらも妊婦さんは一生懸命息を吸い始めて、
「いい子だね、続けて。ちゃんと助けてあげるからね」
どっちが子どもかわからないような、ああでも、患者さんがちょっと笑った。一生懸命息を吸い続ける。