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天使さまっ!
第12章 続編 ワザワイはワスレタコロに
私がナースコールをするのと、コウヤがナイフを取り出すのが同時だった。ハッと息を飲んだ時にはもうスイッチを押した後。
『どうされましたか?』
ナースステーションからの応答がトイレの中に響く。
助けて、と言いたい私はでもコウヤのナイフに言葉も出せず、心の中で叫ぶしかなかった。
「すみません、間違って押しちゃいました」
『そうですか、わかりました』
コウヤが適当なことをいうと、呆気なくナースコールは切れてしまう。ぷつんという音が虚しくて、もう何を言っても届かない。
「余計な真似、すんなよ」
コウヤは勝ち誇ったようにナイフをチラつかせながら私の体を抱き寄せた。
「っひ」
逃げたいのに逃げ出せなくて、抵抗したいのに抵抗できなくて、私はただただ無力で、コウヤなんて嫌いで、絶望的だった。