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山猫と狼
第11章 ロイ殿下の輿入れ
ロイとクロードは祭壇の前に到着すると、ウルリケ国の宗教的な権威の大司教から祝福を受けた。
「この通り、双方の同意を得ています」
クロードは結婚誓約書を大司教に見せる。
ロイは、昨日のことをまざまざと思い出し、顔を曇らせた。
「国王陛下、ロイ殿下。この度はご結婚おめでとうございます。
それでは、ミサを始めましょう」
このウルリケの大司教には、よからぬ噂があった。
聖職者であるにも関わらず隠し子がいるだとか、賄賂で大司教の座に昇りつめただとか、とにかく真っ黒なのだ。
自国の聖職者と話す機会があったとき、ロイは彼の噂を耳にしたのだった。
穢れている!何もかも・・・!
できることなら、ロイは今すぐ現実から逃げ出したかった。
彼女はぎゅっと目を閉じ、時間をやり過ごした。
現実を拒否する彼女の耳には、何も入ってこなかった。
「・・・ますか?」
「はい、誓います」
ロイは突然発せられたクロードの声に、はっと我に返った。
「汝は病める時も健やかなる時も、新郎を愛すると誓いますか」
大司教はロイを見つめて言う。
ロイは逡巡した。
まさか。誓えるわけがない!
だが、「誓いません」と言おうものなら、リュリやクリストたちの命は保証できなくなる。
ロイの沈黙に、参列者はざわつきはじめる。
クロードも、ロイを疑念の目で見ている。
「・・・・います。・・・・・ちかいます」
ロイは喉を振り絞り、弱弱しい声で言った。
ロイの言葉を受けて、安心したように大司教は式を続行した。
「この通り、双方の同意を得ています」
クロードは結婚誓約書を大司教に見せる。
ロイは、昨日のことをまざまざと思い出し、顔を曇らせた。
「国王陛下、ロイ殿下。この度はご結婚おめでとうございます。
それでは、ミサを始めましょう」
このウルリケの大司教には、よからぬ噂があった。
聖職者であるにも関わらず隠し子がいるだとか、賄賂で大司教の座に昇りつめただとか、とにかく真っ黒なのだ。
自国の聖職者と話す機会があったとき、ロイは彼の噂を耳にしたのだった。
穢れている!何もかも・・・!
できることなら、ロイは今すぐ現実から逃げ出したかった。
彼女はぎゅっと目を閉じ、時間をやり過ごした。
現実を拒否する彼女の耳には、何も入ってこなかった。
「・・・ますか?」
「はい、誓います」
ロイは突然発せられたクロードの声に、はっと我に返った。
「汝は病める時も健やかなる時も、新郎を愛すると誓いますか」
大司教はロイを見つめて言う。
ロイは逡巡した。
まさか。誓えるわけがない!
だが、「誓いません」と言おうものなら、リュリやクリストたちの命は保証できなくなる。
ロイの沈黙に、参列者はざわつきはじめる。
クロードも、ロイを疑念の目で見ている。
「・・・・います。・・・・・ちかいます」
ロイは喉を振り絞り、弱弱しい声で言った。
ロイの言葉を受けて、安心したように大司教は式を続行した。