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山猫と狼
第12章 別れの朝
宴は翌日まで続いた。


空がだんだん白ずんでくる頃、リュリとクリストはアレクシアへ帰って行った。


「絶対また来るからね」


リュリは姉をぎゅっと抱きしめ、泣きながらそう言った。


「リュリ、愛している。元気な子を産めよ。どうか、クリストと元気で」



これが今生の別れになるかもしれない・・・。


ロイはそう思うと、胸にこみ上げてくる熱いものをせき止めることができなかった。


楽しいときもつらい時も、いつも一緒にいた妹。


外で男子と一緒に棒きれを振り回して遊ぶ自分とは対照的に、ピアノを弾いたり手芸をしたりするのが好きだった、可愛らしい妹。


優しいクリストと結婚し、初めて子供を授かった妹。


あの聖母のような優しい表情を、自分は絶対に忘れないだろう。


「クリスト、私の分までリュリを守ってやってくれ」


「もちろんです。ロイ殿下もどうかお元気で」


クリストは爽やかな笑顔で答えた。


子供の頃からよく知っているこの実直な男になら、妹を任せられる。

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