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山猫と狼
第10章 完全なる結婚
「『儀式』を始める前に、大切なお客様をお呼びいたしましょう。どうぞ、お入りください」
クロードが声をかけると、四人の番兵に挟まれた一人の小柄な男が現れた。
「スノートル!」
思わずロイは声を上げた。
小柄な男はロイの大切な腹心だった。彼女の兵士たちと共に捕らえられていたのだ。
「本当は皆さんをお呼びしたかったのですが、万が一全員で反旗を翻えされても困りますから、あなたが最も重用している臣下のみをお呼びした次第です」
「ロイ殿下!」
スノートルは、今まで見たことのないロイの女性らしい姿に驚いた。
彼女の美しさに心を奪われそうになったが、敵前であることを思い出し正気を保った。
彼はロイを王女として、そして軍人として心から尊敬すると同時に、異性としての好意を密かに抱いていた。
強く逞しく優しいロイは、スノートルにとって憧憬の的だった。
身分違いの恋は決して叶わないと知っていたから、自分が彼女の役に立つことだけを考えて生きてきた。
そんな愛する女性が目の前で他の男のものになる瞬間を見届けるのは、彼にとってひどく辛いことだった。
「さあ、彼には私たちの愛の承認になってもらいましょう」
クロードは、心の昂ぶりを滲ませた口調で言った。
クロードが声をかけると、四人の番兵に挟まれた一人の小柄な男が現れた。
「スノートル!」
思わずロイは声を上げた。
小柄な男はロイの大切な腹心だった。彼女の兵士たちと共に捕らえられていたのだ。
「本当は皆さんをお呼びしたかったのですが、万が一全員で反旗を翻えされても困りますから、あなたが最も重用している臣下のみをお呼びした次第です」
「ロイ殿下!」
スノートルは、今まで見たことのないロイの女性らしい姿に驚いた。
彼女の美しさに心を奪われそうになったが、敵前であることを思い出し正気を保った。
彼はロイを王女として、そして軍人として心から尊敬すると同時に、異性としての好意を密かに抱いていた。
強く逞しく優しいロイは、スノートルにとって憧憬の的だった。
身分違いの恋は決して叶わないと知っていたから、自分が彼女の役に立つことだけを考えて生きてきた。
そんな愛する女性が目の前で他の男のものになる瞬間を見届けるのは、彼にとってひどく辛いことだった。
「さあ、彼には私たちの愛の承認になってもらいましょう」
クロードは、心の昂ぶりを滲ませた口調で言った。