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山猫と狼
第10章 完全なる結婚
「それでは、『儀式』を始めようか。スノートル君、君は絶対に目を背けちゃならないよ」


クロードはそう言いながらロイに近づき、彼女の美貌を柔らかくぼかしている薄いヴェールを唐突にめくった。


慄く彼女の唇は、あっという間に男に奪われてしまう。


クロードの唇がロイのそれに触れた瞬間、純白のヴェールがふわりと床に落ちた。


彼は、彼女のふっくらした唇の感触を楽しんでいる。


ロイは目をつぶり、不快な瞬間が過ぎるのを待った。


スノートルは目を覆いたくなった。


ロイの何もかもを侮辱されたようで、かつてない程の怒りがこみ上げた。


しかし、どうやら軽いキスだけでは済まないようだった。


「ロイ殿下、可愛いあなたの舌を出してごらん」


クロードはロイのあごを持ち上げて言う。


「簡単なことじゃないか。スノートル君だって怪我をしたくないはずだよ」


スノートルの喉元には、鋭い短刀が突きつけられている。


ロイは運命を甘受し、桃の花のようなピンク色の舌を突き出した。


クロードは嬉々としてロイの小さな舌を吸い込み、自らの舌に絡ませた。


ロイはクロードの激しい舌の動きに目を白黒させている。


彼女の口内を攪拌する彼の舌で、二人の唾液がぐちょぐちょと音を立てて混じり合い、甘いネクターとなった。


今や彼女の口は、すっかり男によって侵されてしまった。


ロイは、ぽたぽたと快楽の雫が彼女の心を濡らしていくのを感じた。


脳天を痺れさせるディープキスは、どんな状況でも彼女を恍惚へと導いた。
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