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第3章 隆士

電話とメールで、お互いのセックスについて話してた。
私はＭだからと伝えてあった。

隆士も過去に何度か不倫経験があった。
自分はＳだからと言っていた。

初めて隆士とキスをしたとき、ちょっとだけ違和感があった。
上手じゃない。

私はキスが好き。
セックスも好きだけど、好きな人とするキスが心地いい。
ちゅっと唇を合わせるキス。
相手の舌が入ってきてお互い舌を絡めあって息が止まるような…
キスだけで感じて、キスだけでイク。
そんなキスが好き。

だけど隆士は違った。
それでも好きになろうとした。
「その人」を上書きしたかったから。
今思うと、好きになろうと努力をしてた。


抱かれたら気持ちが入る。
よっぽど相性が悪くない限り。
セックスの相性はそこまで悪くなかった。

ただ、快楽を求めるプレイ的なセックスは無理だった。
あくまで普通のセックス。
キスから始まり、胸を愛撫し、潤ったところを丁寧に愛してくれた。
固くなったクリトリスを吸われると体の芯が熱くなる。
本当はそのまま甘噛みして欲しかったのに、それは言えなかった。

とにかく「その人」を忘れさせてくれればそれでよかった。
そして寂しい気持ちを満たしてくれれば。