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ただ愛されたかっただけなのに
第3章 隆士
今思うと、隆士には申し訳なかった気がする。
忘れる為の道具でしかなかったから。

振り返るとどこかでやっぱり満たされない思いを抱え、だから目的は日記とは言え他の出会い系サイトに登録をしたのだと思う。

まさかそこで英くんと出会い、抱かれたなんて言えなかった。
英くんに抱かれて私は恋に落ちた。
隆士には抱かなかった恋心。


英くんに抱かれた後、隆士と会うのが辛かった。
好きな人はあなたじゃない。
そう思いながら抱かれた。

頭の中で私を抱くのは隆士じゃなかった。
体を自由に出来るのは隆士だったけど、心は隆士に開くことは出来ない。
どうしてこの人とキスをしているんだろう…
どうしてこの人を受け入れるんだろう…
なのにどうして私は感じてしまうんだろう…

抱かれながら涙が溢れた。
今すぐ英くんに会いたい。
会えるはずなんてないのに。
それでも会いたい。
心が英くんを求めていた。

辛くて切なくて、心が、体が、バラバラになりそうだった。
もう無理だ。
これ以上隆士とは付き合えない。


他に好きな人が出来たことを伝えた。
隆士にしたら青天の霹靂。
まさか私が他の人を好きになるなんて思ってもいなかった。

相手が誰かも聞かれなかった。
関係を持ったのかどうかも。

ただ…

「俺の性格はわかるだろ?」

そう言われたけど、私には隆士の性格がわかっていなかった。
忘れる為に付き合ったから、隆士を見ていなかった。
ただ快楽だけを求め、寂しさを埋めてもらった。
それだけだったのだ。

隆士を傷つけたことより、そこから解放されたくて。
5ヶ月付き合った隆士と別れた。
本当に私のわがままだけで振り回してしまった。

隆士と別れたから英くんと付き合えるなんて思ってもいなかった。
ただ自分の気持ちに嘘をついて好きじゃない人と一緒にいることが嫌だった。
ただそれだけだった。
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