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暁の星と月
第3章 暁の天の河
数日後、大紋は漸く暁を外に出しても良い気になり、庭を散策する暁に切り出した。
「…今日は星南の馬場に連れて行ってあげよう」
それを聞いた途端、暁の瞳はぱっと輝いた。
「本当ですか?」
愛しい恋人の嬉しそうな顔を見ると、大紋の心も弾む。
暁の美しい黒髪を優しく撫でながら頷く。
「…ああ。…そろそろ本格的に障害馬術の練習もしたいだろうしね。…暁も、いい子にしていたから…」
大紋の言う淫靡な意味を理解し、暁は白い頬を赤らめ顔を逸らす。

…この数日で、暁は更に性的に成熟し大紋の求めることには全て恥らいながらも従順に応えるようになった。
最初は泣きながら拒んだことも、今では少し切な気に大紋を見上げながら、求めに応じる暁を心の底から愛しく思う。
暁の素晴らしいところは、例え夜にどれだけ性的に奔放に…まるで娼婦のように振る舞い乱れても、翌朝は寸分の隙もなく穢れのない聖女のように清らな貌に戻ることだ。
その妖しくも美しい二面性に気づいた大紋は、更に深く暁に惹かれる自分を感じずにはいられなかった。

「…じゃあ、この後、一緒に馬場に行ってくださいますか?」
遠慮勝ちに尋ねる暁の滑らかな頬に触れる。
「ああ。一緒に行こう。…そうだ、練習のあと昼食は万平ホテルで食べよう。まだ連れて行ってあげたことはなかったね…あそこの信州サーモンは絶品なんだ」
暁は静かに笑う。
「…春馬さんと一緒なら、何でも美味しいですよ…」
こんなに可愛らしい返事も出来るようになった暁を大紋は思わず、抱きしめた。
「君は本当に僕を骨抜きにするツボを心得ているな…」
一度、腕を解き、暁の綺麗な貌を引き寄せ、唇を重ねようとしたその時…。

…玄関の車寄せで低いエンジン音が聞こえた。
暁はその音を聞いた途端、はっと瞳を見開き玄関の方を振り返る。
「…兄さん…」
「…え?」
怪訝そうな貌をする大紋を尻目に、暁は白磁のような頬を見る見る間に薔薇色に染め
「…兄さんだ!」
と小さく叫ぶと、大紋の腕をするりとすり抜け、駆け出して行った。
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