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暁の星と月
第3章 暁の天の河
大紋は翌日の夕暮れに前庭のポーチの長椅子に座り、煙草を吸いながらウィスキーを傾けていた。
軽井沢の夕暮れは蜩が早くから鳴き始め、肌を撫でる涼風といい、何とはなしに人恋しくさせるものだ。

大紋は本来、ヘビースモーカーだ。
しかし暁が煙草の煙を好まないと聞き、三年前から禁煙をしていた。
「…母さんの情夫たちが皆煙草を吸っていて…。あまり良い思い出がないんです…」
淋しげに笑った暁を見た途端、金輪際煙草には手を出さないと決めたのだ。

物思いに耽る大紋の耳に、やや軽薄な声が響いてきた。
「…どうされました?随分メランコリックですね」
ふと見ると、薔薇の生垣の側に舶来物と見える洒落た自転車に跨る風間忍の姿があった。

「…なんだ、君か…」
大紋は全く取り繕う様子もなく、淡々と答える。
「なんだとはご挨拶ですね?…これでも貴方の後輩なのに」
大して気にする様子もなく風間は自転車を降りる。
「来るのは構わないと言われたので遠慮なく来ましたよ」
全く物怖じせずにこちらに歩いてくる風間を見ながらウィスキーを煽る。
「…構わないさ。…ただ残念なことに肝心の暁はいないがね」
風間は目を丸くし、すぐににやにやと日本人離れした美貌に笑みを浮かべる。
「なんだ、もう痴話喧嘩したんですか?…どうせ貴方が縣にしつこくしてうんざりされたんでしょう?貴方、セックスがしつこいって顔に書いてあるもの」
あけすけに下世話な話をする風間に眉を寄せる。
「…下品な話をするなら帰って貰おうか」
風間はまあまあと言うように両手を上げる。
「…弁護士さんは頭が固くていけないなあ…。僕は褒めているんですよ?貴方には日本人男性にしては珍しく色気があるって…少なくとも、あの堅物で潔癖な縣をモノにしたんだから大したものですよ」
風間は遠慮なく大紋の隣りの長椅子に座る。
そして、テーブルに置いてある大紋の外国煙草を手に取り
「一本戴きますよ」
とするりと抜き取り、大紋のジッポで火を付けた。
随分慣れた手つきだ。
「…未成年だろう?」
形だけ諌めると、風間は人好きはするがどこか人を食ったような貌で笑った。
大紋はすっかり馬鹿馬鹿しくなり、
「待っていなさい」
と声をかけると、家の中に入り風間へのホットワインと軽食を家政婦に指示し、またポーチに戻ってきた。
…妙なことになったな…と思いながらも不思議と嫌な気持ちはしなかった。
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