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暁の星と月
第3章 暁の天の河
「ご一緒にいらしていたのですね…!」
暁が嬉しげに階段を駆け下りる。
ホールに入りかけた大紋が、暁の声に振り返る。

月城は端正な眼鏡の奥の切れ長の瞳に笑みを滲ませ、暁を見る。
「はい。縣様にご同行をお許しいただきましたので」
そして、暁の姿をまるで優しい兄のように見つめた。
「…背が伸びられましたね。
…そして…更にお美しくなられた…。暁様」

暁の後ろから声が響いた。
「僕にも紹介して貰えるかな、暁」
大紋が暁のすぐ後ろに立ち、月城を穏やかに見つめていた。
「春馬さん…。こちらは北白川伯爵家の執事をされている月城さんです。…月城さん、こちらは大紋春馬さんです。兄さんの親友で、兄さんの会社の顧問弁護士さんなんです」
暁が二人の紹介を終えると大紋は、にこやかに手を差し出す。
「大紋春馬だ。よろしく、月城くん。
…で?暁はどうして彼と親しいの?」
暁が縣家に引き取られてまだ3年目だ。本人がさほど交流にない北白川伯爵家の執事と懇意とは、意外だったからだ。

暁が懐かしそうな遠い目をした。
「…あれは…僕がまだ縣家に引き取られて間もない頃でした…。兄さんに連れられて、初めて麻布の北白川家にお伺いしたのです…大変、緊張しながら…」
…そう、あの日の出来事は、昨日のことのように覚えている…。



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