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暁の星と月
第3章 暁の天の河
その日は久しぶりに帰国した北白川伯爵が、多くの招待客を招き、盛大に昼食会を開いたのだ。
礼也はなるべく早く暁を北白川伯爵にお披露目したかったので、暁を同行した。
北白川伯爵は優しく暁を歓迎してくれた。
日本人離れした端正な貌に、優雅な笑みを浮かべる。
「…初めまして、暁くん。お目にかかれて嬉しいよ。…生憎、梨央は昨夜から熱を出してしまい今日の昼食会には出席できないのだが…」
礼也は眉を顰め、心配する。
「梨央さんのご様子はいかがですか?」
「軽い風邪のようなので心配はいらないよ。…あの子は季節の変わり目には必ず体調を崩すからね」
礼也はひとまずほっとする。

昼食会は和やかに始まり、暁は世話焼きで優しい九条夫人の隣の席に配されたので、緊張しながらも夫人と楽しい雰囲気で会話することが出来た。
習い立てのテーブルマナーも間違うことなく、振る舞うことが出来た。

…昼食後は、紳士達は談話室で葉巻とブランデーを愉しみながら談笑をする。

梨央の為に、同年代の貴族の子弟達も何名か招待客されていた。まだ幼い紳士、淑女達は母親達に連れられ、客間に移動する。
お茶と特製のデザートが子供達には楽しみだ。
まだ幼い子供達は、歓声をあげながら客間に向かう。
暁が心配な礼也は談話室には移動せずに、客間で暁と過ごそうとしていた。
しかし、男性陣にも人気の礼也はすぐに友人達に捕まり、談話室へと誘われてしまう。
断ろうとする礼也に暁は
「僕は1人でも大丈夫です。兄さんは皆さんと行かれてください」
と笑顔で声をかけた。
礼也は
「すぐに戻るからね、いい子でお茶をいただいていなさい」
と答えて心配そうな貌をしながらも、談話室に消えていった。



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