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暁の星と月
第4章 夜啼鳥の夢
「…ま、縣が幸せなら別にいいですよ。…僕は縣を諦めた訳じゃないですけれど、縣には幸せになって欲しいんです。…彼が不幸そうにしているのは見たくない…」
日本人離れしている端正な顔でシャンパンを煽る風間を見る。
大紋は温かく笑った。
「…君はいい奴だな」
風間が大げさに嘆く振りをする。
「今頃気づきました⁈なんて鈍い人だ。僕は貴方と縣の道ならぬ恋の最大の理解者ですからね。肝に銘じてくださいよ」

…と、二人に好奇心一杯に近づいてくる若い令嬢の姿があった。
「…何を肝に銘じるの?…お兄様」
「雪子…」
風間が振り返ると、華やかな紅のシルクタフタに身を包んだ若く美しい女性が佇んでいた。
風間は目を見張る。

美しい黒髪を華やかに結い上げ、白い肌には高価そうなブラックオパールが飾られている。
気の強そうな眉と瞳が特徴的な目を引く美人であった。
「…紹介して下さらない?お兄様」
大紋は苦笑しながらも妹と風間を引き合わす。
「お前は美男子に目ざといな。…風間くん、僕の妹の雪子だ。…雪子、彼は暁くんの星南馬術部の先輩の風間忍くんだ」
風間は洗練された仕草で、雪子の美しい手を取りキスをする。
「初めまして、雪子さん。風間忍と申します。…大紋先輩にこんなにもお美しい妹君がいらしたとは…!…先輩、もっと早く紹介してくだされば良かったのに」
如才ない挨拶に雪子は笑い出す。
「面白い方ね、風間さん。でも残念ながら、私の意中のお方は暁様お一人なの。…暁様にお会いした14歳の時からずっと…。暁様は私の初恋の王子様なのよ」
黒く大きな瞳をきらきらと輝かせて語る雪子は大層美しかった。
「…へえ…」
風間はちらりと大紋を見遣る。
大紋は少し苦しげに微笑み、話を逸らせた。
「それはそうと、雪子。暁くんとは話せたかい?」
「…ええ…話せたけれど…北小路の笙子様が暁様を独占して離さないのよ。…意地悪なんだから!…無理やり引き離して、最初のワルツを踊っていただくお約束はしたけれどね」
風間が声を放って笑う。
「これは気の強いお嬢さんだな。縣がタジタジにならないようにお手柔らかに頼むよ」
雪子はつんと顎を反らせる。
「私、暁様の前では借りてきた猫みたいに大人しいもの。…あらやだ。私ったら、すっかり忘れてた!
…絢子様!絢子様、こちらにいらして!」
大紋は、雪子が手招きした先に首を巡らした。


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