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暁の星と月
第4章 夜啼鳥の夢
「…暁様のことは、14歳から拝見しておりますが…年を追うごとに、お美しく気高くおなりです」
…そして艶やかに…と、月城は暁を見つめながら心の内で呟く。
縣家に引きとられたばかりの時は、美しい容姿だが垢抜けず、おどおどと頼りなげな風情の少年だった。
人々の輪に入れずに、寂しげにバルコニーで一人佇んでいた姿をまるで昨日のことのように思い出す。

しかし、今では…
暁の立派に成人した姿を見つめる。
極上の黒い燕尾服に、ホワイトタイ…一部の隙もない麗人然とした貴公子だ。
少し長めの前髪から覗く黒々とした漆黒の闇のような瞳、白磁のような白い肌、古典的な彫刻のような鼻梁、薄紅色の形の良い唇…。
どれもが作り物のように美しい…。
…だが、その美しさに見え隠れするどこか寂しげな…それでいて官能的な薫りを月城は感じ取れてしまう…。
それがどこから来るものなのか…
誰からもたらされたものなのか…
それは、月城には与り知らぬことなのだが…。
…月城にできることは、この類稀なる美しい青年が、これから幸福に包まれるように祈ることだけだった。

「…暁様、実は私からもささやかではございますが、贈り物がございます」
暁の美しい瞳が見開かれる。
月城の美しい手から手品のように胡蝶蘭のコサージュが取り出された。
「私が栽培いたしました胡蝶蘭です。…よろしければお受け取りください」
暁は感激する。
「…とても綺麗です…。これを…僕の為に?…わざわざ?」
月城は少し照れたように笑った。
そんな月城は初めて見たので、少し驚く。
「…暁様は素晴らしい高価なプレゼントを沢山貰われているでしょうから、このようなものは取るに足らないものかも知れませんが…」
暁は必死で首を振る。
「いいえ、こんなに美しい胡蝶蘭は見たことがありません。…しかも月城さんが丹精込められて栽培されたなんて…。本当に嬉しいです」
そして、月城を見上げてねだる。
「…付けていただいてもいいですか?」
「…はい、もちろん」
月城のほっそりとした長く美しい指が器用に暁の燕尾服の胸ポケットに胡蝶蘭を付けるのをうっとりと見つめる。
気品に満ちた胡蝶蘭の生花は暁の美貌を更に輝かせた。
「…とても良くお似合いです」
月城が暁を見つめながら微笑む。
「ありがとうございます、月城さん」
…美しい貌をほころばせて礼を言う暁に、月城はやや改まって口を開く。

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