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暁の星と月
第4章 夜啼鳥の夢
漆黒の闇のような黒い瞳を潤ます暁を抱き寄せ、静かに踊り出す。
ひんやりと冷たい白く華奢な手を温めるように包み込む。
「…ワルツ、上手くなったね」
暁のステップはまるで羽根の生えた天使のように…空気のように軽やかだ。
褒められて暁は嬉しそうに笑う。
「ありがとうございます。…兄さんに今でも時々習っていますから…」
大紋の眉が釣り上がる。
「え⁈…礼也と?…二人で踊っているの?」
「…そうですよ。僕が女性役で…」
…益々、納得がいかない!
「…それじゃ練習にならないじゃないか!…何を考えているんだ、あいつは!…単に暁に構いたいだけなんじゃ…」
「何をぶつぶつ言っているんですか?兄さんは、女性役をすると、どうしたら良いリードになるのかが分かるから…て」
「…へえ〜、そうなんだ〜」
大根役者ばりの棒読みセリフしか出ない。
大紋には分かっていた。
礼也は暁が可愛くて仕方がないのだ。
もちろん、肉親としての情愛ではあるが、美しいものをこよなく愛する礼也は、暁の類いまれなる美貌を深く愛し、愛でている。
それがこのような過剰な溺愛に繋がるのだ。
…油断ならない…!
暁はまだ深く礼也を想っているし…。
眉間に皺を寄せていると、暁が
「…そんなことより…」
と、手を強く引いた。
「…絢子さんと、どんなお話をしていたんですか?」
「…え?」
「雪子さんに聞きました。絢子さんは春馬さんの馬場馬術をご覧になって一目惚れされたそうですね…。昨日もわさわざお父様にせがんで家にいらしたとか…」
「…あのお喋りめ…」
暁の瞳が不安げに大紋を見上げる。
「…絢子さんは、貴方が好きなんでしょう?」
にやりと大紋が笑う。
「…馬に乗っている僕はかっこいいからなあ〜」
「…もう!真面目に答えてください!」
大紋は暁の手を握りしめ、優雅にターンする。
「暁にヤキモチを妬かれるのは本当に気持ちいいなあ〜」
「…知りません!」
ぷいと横を向く、暁を大紋は強く抱き締める。
ステップが止まる。
「…心配いらないよ…。彼女は少女めいた憧れで僕を見ているだけだ…」
「…でも…」
まだ心配そうな暁の貌を上向かせる。
大紋の真摯な瞳が暁を捉える。
「…例え彼女が僕に恋をしていたとしても、僕は君以外の人に恋することは出来ない…君以外には誰もときめけない。…未だに君のことを考えるだけで、胸が苦しくなる…そんな人は君だけだ」
ひんやりと冷たい白く華奢な手を温めるように包み込む。
「…ワルツ、上手くなったね」
暁のステップはまるで羽根の生えた天使のように…空気のように軽やかだ。
褒められて暁は嬉しそうに笑う。
「ありがとうございます。…兄さんに今でも時々習っていますから…」
大紋の眉が釣り上がる。
「え⁈…礼也と?…二人で踊っているの?」
「…そうですよ。僕が女性役で…」
…益々、納得がいかない!
「…それじゃ練習にならないじゃないか!…何を考えているんだ、あいつは!…単に暁に構いたいだけなんじゃ…」
「何をぶつぶつ言っているんですか?兄さんは、女性役をすると、どうしたら良いリードになるのかが分かるから…て」
「…へえ〜、そうなんだ〜」
大根役者ばりの棒読みセリフしか出ない。
大紋には分かっていた。
礼也は暁が可愛くて仕方がないのだ。
もちろん、肉親としての情愛ではあるが、美しいものをこよなく愛する礼也は、暁の類いまれなる美貌を深く愛し、愛でている。
それがこのような過剰な溺愛に繋がるのだ。
…油断ならない…!
暁はまだ深く礼也を想っているし…。
眉間に皺を寄せていると、暁が
「…そんなことより…」
と、手を強く引いた。
「…絢子さんと、どんなお話をしていたんですか?」
「…え?」
「雪子さんに聞きました。絢子さんは春馬さんの馬場馬術をご覧になって一目惚れされたそうですね…。昨日もわさわざお父様にせがんで家にいらしたとか…」
「…あのお喋りめ…」
暁の瞳が不安げに大紋を見上げる。
「…絢子さんは、貴方が好きなんでしょう?」
にやりと大紋が笑う。
「…馬に乗っている僕はかっこいいからなあ〜」
「…もう!真面目に答えてください!」
大紋は暁の手を握りしめ、優雅にターンする。
「暁にヤキモチを妬かれるのは本当に気持ちいいなあ〜」
「…知りません!」
ぷいと横を向く、暁を大紋は強く抱き締める。
ステップが止まる。
「…心配いらないよ…。彼女は少女めいた憧れで僕を見ているだけだ…」
「…でも…」
まだ心配そうな暁の貌を上向かせる。
大紋の真摯な瞳が暁を捉える。
「…例え彼女が僕に恋をしていたとしても、僕は君以外の人に恋することは出来ない…君以外には誰もときめけない。…未だに君のことを考えるだけで、胸が苦しくなる…そんな人は君だけだ」