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暁の星と月
第4章 夜啼鳥の夢
「…からかわないで…」
恥ずかしそうに横を向く暁の貌を両手で覆う。
玻璃のように繊細に美しく、神秘的な官能性を秘めた美貌に改めて息を飲む。
「…本当だよ…君に出逢ってもう6年も経つのに、僕は未だに君に逢うとドキドキする。…まるで少年に戻ったみたいに。…こんな気持ちになるのは、君だけだ。…今までもこれからも…君以外にはいない」
暁が潤んだ瞳を瞬かせる。
「…春馬さん…」

…暁に言うつもりはないが、大紋は昨夜、西坊城子爵に折り入って話があると、バルコニーに呼ばれた。

「…娘の絢子が君に夢中なんだ」
初老の紳士はどうやら遅くに生まれた末娘が可愛くて仕方がないらしい。
「…普段は大人しい娘なのだが、今夜縣男爵邸に行くと聞きつけると、私に拝み倒してきた。どうしても君に会いたいとね」
礼也と大紋が親友で、暁の誕生日会には大紋が間違いなく呼ばれていると推理したらしい。
「君に一目会えたら死んでもいいと言い出すから、仕方なく厚かましいのは分かっていたが連れて来てしまい…あまつさえ、君にダンスを踊って貰えるよう頼んでしまった…本当に済まないね…」
ひとの良さそうな子爵は面目無いと言うように頭を掻いた。
大紋は安心させるように笑った。
「…そのように恐縮なさらないでください。絢子さんのようにお美しいお嬢様に、そのように想っていただけるなど、大変光栄です」
絢子は可愛らしく清楚な、いかにも深窓の令嬢だった。
ダンスの間中、自分をこれ以上ないほど熱く見つめてこられ、さすがの大紋も照れるほどだった。
ふと笑いかけると、涙ぐみながら俯いてしまった。
…雪子のご友人にしては随分と可憐なお嬢様だな…。
大紋は微笑ましく思った。
だが、大紋は自分に好意を向けられることは日常茶飯事なので、余り気にも留めなかったのだが…。

「…本当にそう思って貰えるのかね?」
子爵はちらりと大紋を見上げ、様子を伺う。
「はい。…絢子さんは妹の雪子のご学友でもいらっしゃいますし、これからも雪子と仲良くしていただけましたら幸いです。…よろしければいつでも、飯倉の屋敷に遊びにいらしてください」
如才なく社交辞令を述べる大紋に西坊城子爵は、何かを決意したかのように切り出した。
「…大紋くん。…娘の絢子と…見合いをする気はないかね?」

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