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暁の星と月
第1章 暗闇の中の光
翌朝、暁は朝食室で礼也と向かい合い朝食を摂っていた。
食事によって部屋が違うなんて驚きだ。
この部屋は朝日がたっぷり入る明るく爽やかな部屋だった。
大食堂に比べると、こじんまりしているので間近に礼也が感じられて嬉しい。

朝食は洋食だった。
見たことのない洋食器やカトラリーに暁は戸惑う。
礼也は優しく、しかし甘やかす様子はなく説明した。
「最初は慣れなくて戸惑うかもしれないが、少しずつ覚えていきなさい。お前は縣家の息子だ。これから然るべき席や会に出席しなくてはならないことがたくさんあるからね。
テーブルマナーは早く覚えておくに越したことはない」
「…はい!頑張ります」
暁は真剣な顔で頷く。
礼也の為ならどんなことでも頑張れる。
礼也に恥をかかせるわけにいかない。
どんな席に出ても後ろ指を刺されないよう、きちんとしたマナーを身に付けたい。
「そんなに緊張しなくてもいいさ。食事を楽しみながら覚えていけばいい。…でないと、消化に良くないからね」
礼也は笑った。
…朝日の中で見る礼也は爽やかで、男らしい端正な顔に笑顔が良く似合う。
暁にはよくわからないが、とても洒落たシャツにネクタイを締め上質な上着を羽織っているのがドキドキするほど素敵だ。

黒い制服を着た下僕が恭しくスクランブルエッグとベーコンの皿を運んで来た。
「…さあ、食べよう。まずはナプキンを取って…」
礼也の声に、暁は真剣に礼也の一挙手一投足を注視し、真似を始めた。



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