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暁の星と月
第4章 夜啼鳥の夢
暁はふっと空気中に消えゆくように寂しげに笑う。
「…そうですね。…春馬さんは本当に僕を愛してくださっています。それは疑いません。…ただ、これからもこんなことはたくさんあるのだろうな…と思うと…。それならば早い内に春馬さんは幸せなご結婚をされた方がいいのではないかと考えてしまうのです」
「…どういうこと?」
鳶色の瞳が暁を真剣に捉える。
「…春馬さんは僕とこういう仲になる前は、普通に女性とお付き合いされていたようです。ですから、同性愛者ではありません。恐らく結婚して子供を作ることも出来るでしょう…でも、僕は…」
長い睫毛を瞬かせ、燃え盛る暖炉の火を見つめる。
「…僕は女性が駄目なのです。恋愛感情を持つことも、もちろん性交渉することも出来ません…女性に対して欲情出来ないのです…」
生々しい告白に風間は息を呑む。
暁は大紋から、風間が二人の関係に気づいているが許容に近い感情でいるらしいと随分前に聞かされていたのだろう。
しかし、ここまで自分の内面を曝け出す告白を聞いたのは初めてであった。
「…そう。…俺は縣は、大紋先輩に迫られてなし崩し的にそういう関係になったんだと思っていたよ」
縣の植物的な美しさや清らかさから肉欲や性欲が感じられないこともそうだった。
暁はそのしっとりとした闇のような瞳で風間を振り返り、寂しげに微笑った。
「…最初は…そうでした。…僕も春馬さんに抱かれて、いわゆる女にさせられたから、そうなのかと思っていました。…けれど違った…」
…どんなに美しい女性を見てもときめかないし、欲情もしない。
寧ろ、女性に触れたり触れられたりするのは、親しい女性以外は嫌悪に近い感情を持つ。
「…一方、男性には…」
不意に妖しく夜に咲く白い花のような微笑を浮かべる。
「…僕には春馬さんという恋人がいるから、他の男性を好きになったりはしませんが、包み隠さず言うと性行為をしたいのは男性です。…女性は…駄目なのです…本当はそういうことを考えるだけで、吐き気がする…」
…僕が…気持ち悪いですか…?
か細い小さな声で尋ねる暁を思わず抱きしめる。
腕の中で、華奢な身体が震える。
「何もしないよ。…それから、気持ちが悪い訳ない。…だって…俺は両刀使いだよ?雑食系肉食系、好き嫌いなし!…ワイルドだろ?」
にやりと笑い、和ませる。
暁は澄んだ瞳に透明な涙を浮かべ、ぎこちなく笑って見せた。
「…そうですね。…春馬さんは本当に僕を愛してくださっています。それは疑いません。…ただ、これからもこんなことはたくさんあるのだろうな…と思うと…。それならば早い内に春馬さんは幸せなご結婚をされた方がいいのではないかと考えてしまうのです」
「…どういうこと?」
鳶色の瞳が暁を真剣に捉える。
「…春馬さんは僕とこういう仲になる前は、普通に女性とお付き合いされていたようです。ですから、同性愛者ではありません。恐らく結婚して子供を作ることも出来るでしょう…でも、僕は…」
長い睫毛を瞬かせ、燃え盛る暖炉の火を見つめる。
「…僕は女性が駄目なのです。恋愛感情を持つことも、もちろん性交渉することも出来ません…女性に対して欲情出来ないのです…」
生々しい告白に風間は息を呑む。
暁は大紋から、風間が二人の関係に気づいているが許容に近い感情でいるらしいと随分前に聞かされていたのだろう。
しかし、ここまで自分の内面を曝け出す告白を聞いたのは初めてであった。
「…そう。…俺は縣は、大紋先輩に迫られてなし崩し的にそういう関係になったんだと思っていたよ」
縣の植物的な美しさや清らかさから肉欲や性欲が感じられないこともそうだった。
暁はそのしっとりとした闇のような瞳で風間を振り返り、寂しげに微笑った。
「…最初は…そうでした。…僕も春馬さんに抱かれて、いわゆる女にさせられたから、そうなのかと思っていました。…けれど違った…」
…どんなに美しい女性を見てもときめかないし、欲情もしない。
寧ろ、女性に触れたり触れられたりするのは、親しい女性以外は嫌悪に近い感情を持つ。
「…一方、男性には…」
不意に妖しく夜に咲く白い花のような微笑を浮かべる。
「…僕には春馬さんという恋人がいるから、他の男性を好きになったりはしませんが、包み隠さず言うと性行為をしたいのは男性です。…女性は…駄目なのです…本当はそういうことを考えるだけで、吐き気がする…」
…僕が…気持ち悪いですか…?
か細い小さな声で尋ねる暁を思わず抱きしめる。
腕の中で、華奢な身体が震える。
「何もしないよ。…それから、気持ちが悪い訳ない。…だって…俺は両刀使いだよ?雑食系肉食系、好き嫌いなし!…ワイルドだろ?」
にやりと笑い、和ませる。
暁は澄んだ瞳に透明な涙を浮かべ、ぎこちなく笑って見せた。