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暁の星と月
第6章 その花のもとにて
「…んんっ…やめ…て…!」
暁は必死で抗い、大紋の肩を押しのけようとする。
大紋は、怒りよりは寧ろ悲しみの色を強くして、暁の小さな貌を両手で掴み、かき口説く。
「そんなに僕が嫌いか⁈」
暁は首を振る。
「…ちが…こんなところを見られたら…春馬さんの名前が…傷つく…から…」
大紋はその言葉に息を飲み、堪らずに暁を抱き締める。
「…君は狡い!…そうやって僕を夢中にさせて…懐柔しようとしているの…⁈」
「…春馬さん…」
暁の潤んだ瞳には自分が映っていた。
大紋は静かに尋ねる。
「…君はいつまで礼也を想うの?彼が梨央さんと結婚して…それでも尚、想い続けるの…?…彼は男には興味はない。君を恋愛対象として見ることはありえない」
暁は子供のように頭を振る。
「分かっています!僕だって…兄さんを忘れたい…!でも…ふとした時に…気がつくと兄さんを想ってしまう…だって…何もなくなった僕を一番最初に抱き締めてくれた人なんだから…いつまでも…忘れられない…僕は春馬さんが好きです…大好きです!…でも…兄さんは特別なんです…!」
貌を覆いながら涙を流す暁に、大紋はそっとその涙を指先で優しく払う。
そして静かに…しかし、妖しくもどこか悲しみを秘めた眼差しで語りかけた。
「…僕が忘れさせてやる…今、ここで…」
「…春馬…さん?」

大紋は、暁をそのまま甘い香りが漂う蔓薔薇の這う煉瓦の壁に押し付ける。
その艶やかな髪を…美しい貌を弄りながら、耳元で低く囁く。
「…ここで僕を受け入れるんだ…礼也の妻となる女性の屋敷で…僕に抱かれるんだ…そうでもしないと…君は礼也を忘れない」
暁は眦が裂けんばかりに瞳を見開く。
「…そんな…!春馬さん…気でも違ったの…?…梨央さんの…この温室で…そんな…」
大紋は構わず、暁のベルトを外し、荒々しく下着ごとスラックスを取り去る。
そして、愛しげに微笑いながらも暗く呟いた。
「…君に恋してから…ずっと僕はおかしいさ…」
シャツの釦を外し、薔薇の蕾のような乳暈を揉みしだく。
「…い…や…やめ…て…」
白昼に…他人の屋敷の温室…しかも兄と婚約した女性の屋敷の温室で、これから男に犯されるかも知れないという異常な事態に、暁は激しく抵抗した。
「…だめ…!春馬さ…ん…お願…い…」
だが逞しい体躯の大紋に身体を磔のように押さえつけられている暁には、もはやなす術がない。


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