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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
このようにいつも、激しく濃厚に愛され求め尽くされて、意識を失うように眠ってしまう暁が先に眼を覚まし、まだ眠りの世界にいる男を眺められることは珍しいのだ。
…春馬さん、疲れているのかな…。
暁は大紋を起こさないように、腕の中からそっと起き上がる。
すると、男は無意識に暁の肩を引き寄せ
「…暁…愛している…」
寝言を呟いた。
「春馬さん…」
暁の胸は喜びと感慨で一杯になる。
大紋の広く逞しい胸に貌を埋める。
男の森の薫りのような体臭に安堵する。

今や大紋の法律事務所は所属弁護士も5人に増え、それに伴い依頼も増加し、大変忙しいはずなのに自分との時間を最優先にしてくれるのだった。
会えば暁の望むように過ごしてくれる。
暁の困ったことや相談には真剣に考え、一番良いアドバイスをくれる。
記念日には趣味の良い最高級品の贈り物を欠かさない。
連れて行ってくれるレストランやバー、お忍びで行く旅館は超一流のところばかりだ。
いつも愛を囁き、暁を濃密に余すところなく愛し尽くしてくれる。

…もう付き合い出して5年も経つのに、少しも変わらない。
それどころか、年々大紋の愛は強くなっている気がする。
暁に対して執着が深く、嫉妬深いがそれは決して不快ではない。
彼は理不尽な態度は取らないし、絶対に力でねじ伏せたりまた、本気で嫌がるような行為はしないからだ。
彼は情熱的で優しく紳士な恋人だ。
暁はこの5年、もちろん大紋としか愛し合っていないし、大紋もそうだろう。
身体の相性が良いこともあるが、暁は大紋以外には惹かれない。
大紋は暁の身体の細部まで知り尽くしている。
どうすれば暁の身体が柔らかく溶け、快楽から啜り啼くのか…熟知していた。
暁の身体を感じやすく淫らに…喩えようもなく美しく作り上げのは大紋だからだ。

暁は、ゆっくりと起き上がる。
そっと細い指先で大紋の美しく男らしい貌をなぞる。
「…春馬さん…」
…愛している…
と、口を開きかけ…やめた。

…自分が執着するものは、悉くその手の中からすり抜けて来た。
暁は未だにその呪縛から逃れることができない。
…愛を告白したら最後、この恋人は自分の前から消え失せてしまう…
そんな恐怖を抱いていた。
…だから愛しているとは言わない…
…だって…

暁は哀しげに大紋を見つめ、その精悍な唇にキスを落とすと、男の胸に貌を埋めて静かに瞼を閉じたのだ。

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