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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
絢子はゆっくりと大紋を見上げた。
「…私は、ただ春馬様にお目にかかりたい。…遠くからでもお姿を拝見できるだけでいい…。そう思い、厚かましくも雪子さんに誘われるとお家にお邪魔しました。
…滅多にはお会いできなかったですけれど…稀に春馬様のお姿を拝見すると、その日は嬉しくて一日中幸せでした。
…一度は私に微笑みかけてくださって…涙が出ました。…その日は興奮してしまい、夜は一睡もできませんでした…」
絢子は切な気に笑った。
それは胸を掴まれるような邪心のない綺麗な笑顔だった。
「…絢子さん…」
次の言葉を聞くのが怖いかのように、絢子は自分から尋ねた。
「…春馬様は、まだそのお方を愛していらっしゃるのですか…?」
縋り付く様な眼差しであった。
大紋は一呼吸すると、静かに答えた。
「…はい。…心の底から…」
ふっと、絢子の瞳から力が抜けた。
そして、寂し気に微笑むと、自分に言い聞かせるように呟いた。
「…そうですよね…春馬様はご誠実な方ですもの…。簡単にお気持ちを変えたりは、なさらないのですよね…」
「…絢子さん…」
重ねるように質問する。
「…どのようなお方なのですか?そのお方は…。
…きっと、とてもお美しい方なのでしょうね…」

絢子の気が済むなら…と、大紋は口を開く。
「…はい。初めて会った時からずっと心を奪われ続けています。…奇跡のように美しく…妖艶で…でも清らかで…儚気で…笑っていても寂しそうな雰囲気がある人で…だから放っておけないのです。…ずっと私の片思いだったのです。…だから、その人と結婚できなくてもずっと側にいたいのです。…命ある限り…」
絢子に対して残酷だと思いながらも、大紋は情熱的な告白をする。
絢子は大紋の言葉を一言一句聞き漏らさないように、息を詰めて聞いていた。
そして最後まで聞き終えると、その白い頬に涙を一粒、零した。
「…やはり…その方が羨ましい…」

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