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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
縣商会の職場では、暁が法被を来た従業員たちに囲まれていた。
「坊ちゃん、綺麗か顔やね〜」
「坊ちゃん、綺麗か字やね〜」
「坊ちゃん、ええ匂いやね〜」
周りのむくつけき男達はまるで、白雪姫を見守る7人の小人のようだ。
うっとりしながら、綺麗な筆跡で台帳に記入している暁を見つめているのだ。
暁はあまりの近さと熱にたじろぎながらも、受け入れて貰えたことが嬉しくて、つい笑ってしまう。
「…もう…皆さん、仕事に戻って下さいね」
優しく窘めるが、あまり効き目はない。

…そこに慌ただしくドアをノックされる音…
顔を覗かせたのは大紋であった。
「大紋先生!今日はどうしたと?」
「すまないが、暁…暁くんに急用があってね。ちょっと借りるよ」
そう言って、暁に目配せをする。
何事だろうと、廊下に出るとそのまま強い力で腕を捕まれる。
「…ちょっ…どうしたんですか?」
「いいからきて」
大紋に引っ張られ、奥の資料室に引き込まれる。
大紋は素早く後手に鍵をかけると、暁を書庫の壁に押し付ける。
「春馬さ…」
驚きの表情の暁の顎を捉えるとそのまま唇を奪った。
「…んっ…だめ…会社で…こんな…」
激しく抵抗する暁を強い男の力でねじ伏せ、抱きしめる。
そして耳元で懇願する。
「…キスだけだ…それ以上はしないから…お願いだ…」
「…春馬さん…んん…っ…ああ…」
「暁…愛している…愛している…」
熱く激しいくちづけの合間にかき口説くように囁かれる。
眩暈がする程の濃密なくちづけに暁は息も絶え絶えになる。
「…ああ…春馬さ…ん…」
暁からも濃厚に舌を絡ませ合い、舌が千切れるほど吸われ、お互いの唾液の交換をし合うかのような激しい情事にも似たくちづけが暫し交わされ…漸く大紋は暁の唇を解放し、その上気した美しい貌をじっと見つめた。
「…暁…君は綺麗だな…」
息を整え終え、大紋に少し乱れた髪を直して貰う。
「…何かあったんですか?」
大紋は穏やかに笑い首を振る。
「…いや、何も…」

…嘘だと暁は思った。
大紋は嘘を吐く時に、必ずこんな風に笑いながら首を振るのだ。
「…君に逢いたかっただけだ…」
逞しい男の胸に抱き込まれる。
いつものように、強く抱きしめられる。
…世界一、安心出来る場所…
…だから暁は、問い詰めることができない。
そんなことをすれば、幸せが砂の城のように崩れてしまいそうになるからだ。





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