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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
暁が玄関ホールに着くと、礼也は執事の生田に出迎えられていたところだった。
「お帰りなさい、兄さん」
満面の笑みで自分を出迎える暁に、礼也はにっこりと笑い、歩み寄る。
深夜12時を過ぎていても、礼也の姿は朝、出て行った時と少しも変わらない。
高価なイタリア製のスーツをりゅうと着こなし、髪も一分の隙もなく整えられている。
そして、暁を見つめるとその男らしく整った端正な貌を綻ばせる。
「ただいま、暁。…まだ起きていたのか?夜は早く寝なくてはだめだぞ?」
まるで子供に諭すように言う礼也に、暁はくすりと笑う。
「僕はもう22歳ですよ?」
「そうだったな。…大きくなったな、暁…」
礼也の大きく綺麗な手が、暁の美しい貌の線を優しく愛しげに辿るように撫でる。
「…大人になってもお前は美しいな…。
いや、お前の美貌は年と共に増すばかりだ…」
その言葉と手の動きに、くすぐったい中にもぞくりとするような快感を感じ、暁は慌てて身体を離す。
「…兄さん、居間で珈琲でもいかがですか?僕がお入れします」
そんな暁を少し物足りない表情をしながら見て、礼也は頷いた。
「ああ、いただこうか。…生田、お前はもう休んでいいよ。今日もご苦労だったね」
「畏まりました。それでは、旦那様、暁様、おやすみなさいませ」
傍らの生田が慇懃にお辞儀をし、その場を静かに辞す。
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