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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
数日後、暁は大紋と共にホテル・カザマの風間社長主催の個人宅の夜会に訪れていた。
赤坂にある風間邸は、ホテルを設計したフランス人建築家が手掛けたアールヌーボー様式の瀟洒な建物であった。
車から降り、下僕が恭しく開くドアから玄関ホールに入りながら
「…父親が風邪を引いてしまってね。…名代を仰せつかってしまったんだよ」
大紋は困ったように眉を上げて見せた。
大紋の父親はホテル・カザマの顧問弁護士を務めている。
大紋も最近では、5人の弁護士を抱える敏腕弁護士として名を知られるようになってはきたが、大ベテランの重鎮弁護士的存在の父親には頭が上がらないらしい。

それにしても、背が高く堂々とした男らしい体躯の大紋は燕尾服が良く似合う。
…春馬さんの燕尾服姿は兄さんと同じくらいに素敵だ…。
暁は密かに見惚れる。

「僕も風間先輩に招待されていたので…春馬さんとご一緒出来て嬉しいです」
可愛いことを囁く恋人を大紋は愛し気に見つめる。
今夜の暁は極上の黒い燕尾服にホワイトタイが麗しいお伽話から抜け出てきた王子のような姿だ。
「僕もだ。…今夜はゆっくりして行けるだろう?…夜会のあとは武蔵野の家に泊まらないか?糸さんにはもう連絡してある」
暁は困ったように目を伏せる。
「…泊まりたいですけれど…暫くは兄さんを一人にしたくないんです…」
ああ…と、大紋も貌を曇らせた。
「…梨央さんとの婚約解消の話は聞いたよ。…あんなにお似合いだったのに残念だ…。
理由を聞くのも無神経だから聞いてはいないが…」
「…ええ。僕も聞いてはいません。暫くはそっとして差し上げたいので…」
…梨央さんと綾香さんとの禁断の恋は兄さんと僕との秘密だ。
「…確かに、まだ失恋間もない礼也の前で外泊はしたくない…か」
「すみません…」
申し訳なさげに詫びる暁の指を軽く握る。
「いいさ。…礼也は親友だ。僕だって、彼のことは気になる。また今度にしよう」
暁はほっとしたように微笑む。
「ありがとうございます…」

「…人の家で熱く見つめ合うなんて…随分なご登場ですね」
広間の奥から揶揄うような声が響いた。
この家の息子、風間忍が颯爽とした足取りで現れた。
日本人離れした目鼻立ちと明るい髪色、すらりとした手足の長いスタイルに正装の燕尾服が良く似合う。
彼が登場するとその場にぱっと花が咲くかの様に明るくなるのが不思議だ。



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