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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
風間は大きく手を広げると西洋式に暁を抱きしめ、頬に軽くキスをする。
「縣、よく来てくれたね。会えて嬉しいよ。…相変わらず綺麗だね」
「風間先輩、本日はお招きありがとうございます」
「最近、なかなか会えないから寂しかったよ。忙しそうだね?少し痩せた?会社はどう?もう慣れた?」
「はい。お陰様で…」
大紋が咳払いしながら、2人の間を割り込む。
「暁の心配をしてくれて、ありがとう。でも僕が付いているから大丈夫だよ」
「ああ、これはこれは相変わらず嫉妬深い大紋先輩、ようこそいらっしゃいました。
…社会人になってお二人のすれ違いが続いていたら、僕が縣を頂こうと思っていたのですが…どうやらまだその隙はないようですね」
相変わらず、人を食ったような笑顔の風間に、大紋は暁の肩を抱きながら人好きのする笑みを返す。
だがその眼は少しも笑ってはいない。
「ああ、僕たちは至極上手くいっているよ。ご心配、ありがとう」
たまらずに暁が二人の間に入り、呆れ顔で制する。
「…お二人とも…仲良くして下さいね」
二人は声を揃える。
「もちろんだとも!」
暁はふっと笑いを漏らし、二人に艶やかな流し眼をくれるとそのまま、しなやかな動きでホールの奥へと進んだ。
二人は一瞬、その夜の蓮の花のような妖艶な笑みに見惚れたが、慌てて暁のあとを追ったのだった。
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