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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
広間に入ると、ホテル関係者だけでなく政界、財界、そして軍部のお偉方と、錚々たる人物達が賑やかに談笑していた。
大紋は眼を見張る。
「…ほう…。ホテル・カザマは今や伸び盛りの超一流企業だな。親父の管轄だからあまり知らなかったが…驚いたよ。素晴らしいね」
風間は涼しい顔で肩をすくめる。
「…所詮成り上がりですからね」
「お父様のことをそんな風に言うものじゃない」
大紋が諌める。
「風間先輩は、今年からホテル事業部のほうに入られて活躍されているんですよ」
取りなすように暁が言い添える。
風間は昨年慶應大学を卒業し、父親の会社に入社していた。
「…へえ…」
「ホテルの部屋の家具や調度品、壁紙なんかをヨーロッパから買い付けたり、あとはホテル内のレストランのプロデュースもやっているんです。…縣のところも最近、レストラン部門を始めたから、これから色々とアドバイスできると思うよ」
「ありがとうございます!…僕もまずはレストラン部門を任されたのですけれど判らないことだらけで…。心強いです」
嬉しそうに言う暁に風間は肩を抱き寄せ、頬を優しく抓る。
「もちろんだよ。良かったら、明日縣の会社に行こうか?僕のホテルに来てもらってもいいけど…あ、レストラン、見学する?」
大紋がむっとしながら二人の間に割り込み、暁を引き離す。
「勝手に暁に触るな。…それから、暁。レストランのノウハウやアドバイスなんて僕がしてあげられるから、風間くんに聞くまでもないからね」
風間はやれやれとため息を吐く。
「あ〜あ。大紋先輩は本当に心が狭いですねえ。…美人の恋人を独占したい気持ちはわかるけれど、そんなに雁字搦めに束縛していたら、いつか縣に愛想をつかされますよ?」
「なんだって?」
大人気なく苛立った顔をする大紋を暁は慌てて、宥める。
「分かりました。まずは春馬さんに教えていただきますから…。それから…僕は春馬さんになら束縛されても構わないんです」
長い睫毛の下から上目遣いで艶っぽく微笑まれ、大紋は相好を崩す。
「暁…!」
風間は、大袈裟に手を広げて溜息を吐いた。
「ダメだこりゃ」

…その時、室内管弦楽団が優雅なヨハン・シュトラウスを奏で始めた。
舞踏の時間が始まったのだ。
人々が広間の奥の舞踏室に移動し始める。
風間が、優雅に手を差し伸べる。
「…さあ、どうぞ。麗しのレディ達がお二人を待ちかねておられますよ」
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