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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
ワルツを踊り終わると、絢子はじっと大紋を見つめていたが、感極まったかのように涙を堪えながら、その場を走り去って行った。

慌てて西坊城夫人が娘の後を追う。
絢子が去った方を悲痛な面持ちで見つめている大紋に、西坊城子爵が困惑しつつも娘への愛情を溢れさせる。
「…大紋くん、ありがとう。…我儘な娘の願いを叶えてくれて…感謝するよ」
「…子爵…」
西坊城子爵はしみじみと語り出す。
「…実は今夜は、ホテル・カザマの夜会ということで、もしかしたら君が来るかも知れない…最後に君に一目会いたいと、娘に懇願されて連れて来たのだ。
娘に甘い親馬鹿な父親と思うかも知れないが、私にとっては一途で純粋な可愛い娘なのだ。
君以外には誰にも嫁ぎたくないとまで言いだした。
頑固なところは誰に似たのか…。
…このまま日本にいたら、辛いままだろう。
…外国で心機一転、新しいことに目を向けさせるよ…」
大紋は真摯に頭を下げる。
「…お心に添えず、申し訳ありませんでした」
西坊城子爵は穏やかに笑い、少し寂しげに大紋の肩を叩いた。
「君は何も悪くない。…今まで、娘の我儘に付き合ってくれてありがとう…」
そう言うと、傍にいる暁と風間にも頭を下げて、その場を辞した。

風間が敢えて陽気な口調で話し出す。
「…大人しいお顔に似ず、激しいお嬢様でしたね。
…縣がずっと心配していましたよ」
大紋が暁を振り返る。
伏目勝ちに黙り込む暁の背中を愛しげに抱く。
「…済まなかったね。心配させて…もう大丈夫だから」
「…春馬さん…」
暁は春馬の優しい眼差しの中に、絢子への仄かな憐憫の想いの名残りを感じ取り、胸がちくりと痛んだ。

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