この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
翌日、大紋は屋敷の朝食室で遅い朝食を摂っていた。
今朝早くに、暁を松濤の縣邸に送り届けた。
縣は朝靄の中、車の窓越しにそっとキスをしてくれた。

…愛しい、可愛い、大切な恋人…。
暁を思い返すと、つい微笑みが浮かぶ。
昨夜は自分の褥では寝ようとせず、ずっと大紋に縋り付くようにして眠っていた。
大紋が少しでも身じろぎをすると、子供のように抱きついてきて離れなかった暁…。
優しく掻き抱くと、暁は白く滑らかな頬を擦り寄せてきた。
甘く神秘的な…どこか寂しげな異国の花のような暁の薫りが、まだ大紋に纏わり付いて離れない。

…あんなことは初めてだ。
まだ、絢子のことを気にしているのだろうか…。

今日は仕事を終えたら、縣商会に顔を出してみようと、大紋は胸に決め、薫り高い珈琲を啜った。
そろそろ、出かけようかとナプキンを畳んだその時、執事の井上がやや慌てたように現れると、大紋の後ろから密やかに告げた。
「…春馬様、西坊城子爵様より火急のお電話でございます」
大紋は眉を顰めた。
「…西坊城子爵が?」
…昨日の今日だ。大紋は妙な胸騒ぎを覚え、テーブルから立ち上がると、足早に電話室に急いだ。

「…はい。大紋です」
次の瞬間、電話口に飛び込んできたのは、西坊城子爵の常ならぬ逼迫した声だった。
「大紋くんか⁉︎至急、我が家に来ては貰えないだろうか?」
「いかがされたのですか?子爵」
只事ではないなと思った大紋の耳に、信じ難い子爵の言葉が続く。
「…娘が…絢子が自殺を図った…!譫言で君を呼んでいる。…私の一生の頼みだ。今すぐに来てくれ…!お願いだ!」
/479ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ