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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
暁の形の良い唇から血の気が引いた。
蒼ざめる暁を、まるで獲物を追い詰めるハンターのように黎子は見据えた。
「あのお家で貴方達は何をしていらっしゃるの?」
「…それは…」
黎子は楽しげに唄うように告げた。
「なぜ、こんなことをわたくしが知っているのか、不思議に思っていらっしゃるようね?…では、教えて差し上げるわ。…貴方、西坊城絢子様をご存じでしょう? 」
暁は頷くこともできなかった。
次に黎子が何を言いだすのか…
頭が激しく痛み出し、脂汗が滲み出す。
「…絢子様は大紋様を忘れることが出来ずに、英国留学を前に自殺を謀られたのよ」
「え⁈」
目を見開き驚愕する暁にその反応をまるで楽しむかのように、黎子は笑う。
「10日も前のことよ。あら、やはりご存知なかったのね。…大紋様は、それ以来ずっと絢子さんのお見舞いをされているそうよ。それも毎日…」
…春馬さんが絢子さんのお見舞いを?
自殺を図られた絢子さんのお見舞い…
どういうことなのだろう…僕には何も告げずに…
春馬さんはもう絢子さんのことは関係ないと言っていたのに…
混乱する暁に、黎子は甘ったるい声で囁く。
「貴方の恋人は案外薄情なのね。…それとも、やはり女性がよろしいのじゃないかしら?絢子さんはとてもお可愛らしいし…」
はっとした表情で黎子を見る暁に、侮蔑したように薄く笑う。
「やはり…ね。貴方と大紋様は恋人同士なのね。…いいえ、恋人同士なんて綺麗な関係じゃないわ。…貴方は大紋さんの男妾よ!ただの愛人!汚らわしいったらありゃしない!」
咄嗟に暁は叫んでいた。
「違います!僕たちは愛し合っているのです!」
黎子の細い眦が恐ろしいほどに吊りあがる。
「愛し合っているですって?男同士で?…図々しい!…どうせ貴方が大紋様を誘惑したのでしょう?そうに決まっているわ。だって貴方は所詮あの泥棒猫の息子ですものね。…世間知らずなお坊っちゃまの大紋様を手玉に取ることなんか訳ないわよね。…貴方のあの淫乱な母親がわたくしの夫を誘惑したように!…血は争えないわ…お気の毒な大紋様。でも大丈夫。わたくしがこの汚らしい男娼は排除してさしあげるから…」
「奥様…?」
悪口雑言の数々を浴びせられても構わない。
黎子が大紋に何をしようとしているのか…
その企みが不明なのが暁には恐ろしくて堪らなかった。
今や、黎子は夜叉のように暁を睨みつけた。
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