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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
屋敷に帰宅したのち、すぐに自室に入ろうとする暁に礼也は声をかける。
「待ちなさい、暁」
引き止めた手は夏だというのに氷のように冷たかった。
その手を握りしめながら、礼也は尋ねた。
「…どうした…。母に何をいわれたのだ。話してくれ、暁」
暁は後手に手を取られながらも礼也の貌を見ることが出来ない。
「…何も…何も言われてはおりません」
震える声で答える暁を礼也は優しく引き寄せる。
そして、俯こうとする暁の貌を上げさせ、覗きこむ。
「嘘だ。お前は嘘を吐く時には必ず私に貌を見せない。…どうしたのだ。言ってくれ。母が酷いことを言ったのだろう?」
兄の嗅ぎ慣れた芳しいフレグランスの薫りに包まれる。
雄々しく気高く美しい貌…
大好きな大好きな人…
…優しい兄さん…
誰よりも優しくて僕をずっと愛してくれる兄さん…
兄さんに僕の秘密を知られたら…
僕は死んだほうがましだ。
…春馬さんに、僕のことで迷惑がかかるようなことがあったら…
僕は生きては行けない。
暁は必死で笑顔を作り、礼也を見上げる。
「…本当に何でもありません。…少し…皮肉を仰られただけです…」
やれやれと言った風に礼也はため息を吐く。
「やはりな…。すまないな、暁。母は昔からああなのだ。お前を目の敵にしてしまって…」
「いいえ。大丈夫です。…奥様のお気持ちもわかります…」
…黎子の恨み辛みの数々…
理解はできないが、黎子にも辛い過去があったのだと、暁は遣る瀬無く思う。
…けれど、春馬さんや兄さんに迷惑をかける訳にはいかない…。
…このことは自分一人で決着を付ける。
決して…誰にも知られないように…。

暁は、静かに微笑むと礼也に告げた。
「…今夜は少し疲れたので、もう寝みます。…おやすみなさい、兄さん。…また明日…」

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