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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
日比谷の大紋の法律事務所は午前の法廷を終えた若手弁護士達が続々と帰社していた。
「大紋先生は今日も麹町か?」
弁護士の君島が事務員からお茶を受け取りながら、尋ねる。
「はい。麹町に寄られてから、事務所にいらっしゃるとお電話がありました」
「ふうん。熱心だよなあ。もう二週間だろう?…やっぱりこのまま、あのお嬢様と結婚…てことになるのかなあ」
「え⁈そうなんですか?」
「俺はそう睨んでいるね。…だってさ、大紋先生を忘れられなくて、自殺未遂までしちゃうお嬢様だよ?…美人だし子爵令嬢だし、相手に不足はないだろう?」
「…でも、先生には他に愛する方がいらっしゃるんでしょう?」
「そこが謎なんだけどさ。…でもさ、結婚できない相手なんだろう?…これを機に諦めるべきだよ。先生もさ」
したり顔で呟いたその時、事務所のドアが密やかにノックされた。
「はい」
事務員が応対に出る。
「失礼します」
しなやかに姿を現した青年を見て、事務員は息を飲む。
…品良くソフト帽を脱ぎ、会釈したその貌は、今まで見たことがないほどに美しく…およそこの世の人とは思えないほどに美麗に整った輝くような美貌の青年だったからだ。
青年を見た君島が慌てて立ち上がる。
「縣様!…こんなところへわざわざ…」
暁は静かに微笑む。
「約束もなく来てしまい、申し訳ないね。春馬さんに直接話したいことがあって」
「大紋はただ今、麹町…いえ、私用で出ていまして、間も無く戻ります。どうぞ応接室でお待ちください。…君、縣様をご案内して」
事務員が、緊張したように案内する。
「こ、こちらにどうぞ」
「ありがとう」
優しく微笑まれ、事務員は林檎のように頬を染めた。

事務員は暁を奥の応接室に通しお茶を出した後、興奮したように戻ってきた。
「き、君島先生!あの方はどなたですか⁈…まるでお伽話の王子様みたいに美しい方ですね!」
「ああ、君は最近入ったから知らないんだっけ。うちの事務所の顧問会社、縣商会の取締役の縣暁様さ。…大紋先生の親友が縣男爵で、今の方はその弟さん。…美人だよなあ。…たまに大紋先生の代理で縣商会に行くけれど、思わず見惚れてしまうくらいに綺麗な人だよ。…それに男の僕でも妙な気を起こさせるような色香がある方さ」
君島は暁の白く華奢なうなじや、切れ長の漆黒の闇のような瞳、珊瑚色をした唇を思い出し、ぞくりと背中を震わせた。


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