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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
「縣の家に引き取られてからは、新しい生活に慣れることに精一杯で、花火大会のことなんて忘れ果てていました。
…それが今年、急に…花火が見たいな…と思い始めて…」
…どうしてかな…。
ふっと小さく笑う。

「言ってくれたら、連れて行ったのに」
…暁が望むなら、花火大会だってなんだって、全て叶えてあげたのに…。
「…春馬さんこそ…それどころじゃなかったでしょう…?」
諦観に似た表情で見つめられ、息を飲む。
「聞いてくれ、暁」
紋紗の膝に置かれた白い手を強く握りしめる。
「絢子さんが僕を想って自殺未遂を起こしたのは事実だ。絢子さんの両親に、彼女が元気になるまででいいから見舞いに来てくれと乞われ、通っているのも真実だ。
だが僕は彼女を愛してはいない。…正直、とてもいじらしいとは思うけれど、僕が愛しているのは暁、君だけだ。それは変わらない事実だ。信じてくれ」
暫くの沈黙ののち、暁が彫像のような美しい貌を上げる。
「…信じていますよ。…春馬さん。…貴方は本当に優しい人だから。…誰に対してでも…。
…おそらく、今とても苦しんでいらっしゃることも…」
「…暁…」
「貴方は自分を慕い、自殺未遂までする絢子さんをもう見捨てる気にはなれないのでしょう」
「…そんな…そんなことはない…」
大紋の言葉に微かな心の揺らぎを感じた暁は、そっと瞼を閉じると、ゆっくりと呼吸をした。

「…春馬さん…」
「…何?」
暁が静かに大紋を見上げる。
彼は美しいが温度も色もない微笑を浮かべていた。
「…別れてください。僕と…」
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