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暁の星と月
第2章 新たな扉
暁の学校選びについては、大紋が礼也に熱心にアドバイスをした。
礼也は当初、自分の出身校に暁を編入させたがった。
それに待ったをかけたのが、大紋であった。
「礼也の出た華族学院は確かに華族の子弟が通う由緒正しい立派な学校だ。だけど、それゆえに庶子の暁くんは肩身が狭い思いをするかもしれない」
「…確かにな…」
礼也は眉間に皺を寄せる。
暁が愛人の息子ということで、学校で虐められはしないかということを危惧しているのは礼也も同じだった。
「他に良い学校はあるか?」
「僕が出た星南学院はどうかな?カソリックの学校で、学院長はイギリス人だ。とても自由で風通しの良い校風で様々な出自の子弟が伸び伸びと通っているよ。
僕の親友は陸軍大臣の愛妾の息子だっだけど、そんなことを揶揄するやつは誰一人としていなかった。文武両道で馬術部もあるし、外国語教育も熱心で、ラテン語やフランス語の授業もある。
…聖歌隊もあって、クリスマスのイベントはそれは厳かで素敵なんだ」

…なんだかお伽話みたいな学校だ…。
暁は夢のように話を聞いていた。
「…暁くんが気に入る要素は他にもあるよ。星南学院は鳥居坂にあるから、寮に入らなくていいんだ。…華族学院は全寮制だけどね」
大紋はウィンクしてみせる。
暁はわあ!と小さく歓声を上げた。
…学校に通えるのは嬉しい…。でも寮に入ったらなかなか兄さんに会えなくなる…。
それを寂しがっていたのは事実だった。
大紋は暁の胸の内をしっかり察知していたのだ。
「…大紋さん…」
感激で胸がいっぱいになる。

礼也は大紋の用意周到さに苦笑する。
「春馬はまるでもう一人の兄みたいだな」
「…暁くんが可愛くてね。放っておけないんだよ」
大紋は愛し気に暁を見る。
暁は無邪気に嬉しそうに礼を述べる。
「ありがとうございます。大紋さん。…色々と考えていただいて…」
「どうする?暁。お前が行きたい学校でいいんだよ」
礼也は暁の希望を尊重しようとする。
「…どちらの学校も僕にはもったいないくらい素晴らしい学校です。…でも、僕は出来れば兄さんと離れたくないから、星南学院に行きたいです…」
礼也は思わず破顔し、暁を抱きしめる。
「そうだった。暁は意外に甘えん坊だったな。…いいよ、星南にしよう」
「ありがとう、兄さん!」
暁の礼也を見上げる蕩けそうに甘く潤んだ瞳を、大紋はそっと切な気に見つめるのだった。
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