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暁の星と月
第7章 愛と哀しみの円舞曲
暁は大紋の眼差しに引き寄せられるかのように、静かに起き上がる。
白い肌襦袢を肩に掛けたままのしどけない姿…
白い肌のそこ彼処に、男が愛した痕を紅い花のように無数に散らせたまま…

「…最後に…愛していると言ってくれないか…?」
まだ暁の口から一度も聞いたことがなかったのだ。

暁の長い睫毛が瞬かれ、薄桃色の唇が震えた。
襦袢の膝の上の白い手がぎゅっと握りしめられる。
…口にしてはならない。
口にしたら最後、この男を引き留めてしまう。
…例えそれが、この男を傷つけることになろうとも…
暁は無表情で、葛藤と耐える。

沈黙は僅かな間だった。
大紋は諦観の表情を静かに浮かべると、微笑んだ。
それは昔よく見た、暁を安心させるような慈愛に満ちた微笑みだった。
「…いいんだ。…最後まで僕は君を困らせてばかりだったな…」
「…」

大紋はゆっくりと暁に背中を向ける。
広く、頼もしい…大好きな背中だ…。
男の視線から解放された暁は、瞬きもせずにじっと見つめる。

大紋は前を向いたまま、呟く。
「…さよなら…暁…。君は僕が誰よりも愛した人だったよ。
…今までも…そしてこれからも…」
暁の返事は期待していない。
大紋は振り返ることなく、静かに寝室を出た。

遠ざかる足音…
玄関の扉が開かれ…閉められる音…
…そして、車のエンジンがかかり…
静かに車が発車される音が聞こえ…
…やがて、それも遠ざかる…。

…全ての大紋の気配が消え、暁は一人になった。
膝に置かれた手の甲に生温かいものがとめどなく流れ落ちる。
暁は、初めて自分が泣いていることに気づいた。
白い頬に流れる涙を拭おうともせずに、暁はゆっくりと褥に横たわる。
瞼を閉じて、胎児のように小さく丸くなる。
…大紋の残した体内の熱い精を愛おしむように、下腹部を両手で撫でる。
…さよなら…春馬さん…
…僕が初めて愛したひと…
…そして…
…これからも…


















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